研究実績の概要 |
①白色家兎によるSMILE術後の角膜ベッド表面の平滑性の検討 予備的な研究から得られた140, 160, 180 nJのエネルギー設定、矯正量2, 6, 10 D、スポット間隔2.5, 3.0 μmと可変させた上で、SMILE手術を施行し、その後走査型電子顕微鏡を用いて、角膜片表面の平滑性を既報の診断基準(Wilhelm’s Criteria)に従い、スコア化(0~11点)した。その結果、エネルギーが高いほど、矯正量が大きいほど、角膜表面の平滑性は低下し、スポット間隔は有意な影響を及ぼさないことが明らかになった。 ③SMILEにおける最適レーザーエネルギ-設定の臨床的検討 これまでの予備的な研究で得られた140, 170 nJの標準、高速エネルギー設定でSMILE手術を施行し、術後3か月の時点で眼球光学特性測定機器(Optical Quality Analysis System)を用いて定量的に評価した。その結果、標準・高速モードによるSMILEの安全性や有効性は高く、眼球光学特性はほぼ同等であり、本術式のエネルギー設定の違いが視機能に及ぼす影響は少ないことが示唆された(Kamiya et al. Effect of femtosecond laser setting on visual performance after small incision lenticule extraction for myopia. Br J Ophthalmol. 99:1381-1387, 2015.)。 ⑦SMILEの臨床成績の検討 SMILE手術を施行した症例に対して術後1年までの視力・屈折経過を検討した。その結果、平均裸眼視力が1.45、矯正視力が1.58、予測性は全症例が±0.5D以内に入り、術後1週からの屈折度数変化は0.05 ± 0.32 D 、重篤な合併症は認めなかった。SMILEは安全性、有効性、予測性、安定性が良好である術式と考えられた(Kamiya K et al. Visual and refractive outcomes of small incision lenticule extraction for the correction of myopia: 1-year follow-up. BMJ Open. 5:e008268, 2015.)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた②白色家兎によるSMILE術後の炎症マーカーとアポトーシスの発現の検討は、白色家兎によるSMILEを施行する施設上の制約があり未施行となっているが、許可が得られ次第可及的速やかに実験を計画している。その他の検討については、予想より早く進捗しており、欧米雑誌にすでに2報が掲載されている(Kamiya K et al. Br J Ophthalmol. 99:1381-1387, 2015, Kamiya K et al. BMJ Open. 5:e008268, 2015.)。
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