Small Incision Lenticule Extraction (SMILE)は、フェムトセカンドレーザーのみを用いてレンチクルを抜去する新たな屈折矯正手術であり、フラップ作製を不要とすることから、角膜生体力学特性の低下や角膜神経線維、知覚、オキュラーサーフェスへの影響も少ないことが予想されるが、合併症として一過性の創間混濁が指摘されており、前方散乱を主体とした視機能への影響懸念される。臨床的な検討からは、術後1年の時点での安全性、有効性、予測性、安定性が高く、重篤な合併症を認めなかった。Laser in situ keratomileusis (LASIK)に比較して、角膜生体力学特性の低下や角膜神経線維、角膜知覚、オキュラーサーフェスへの影響も少なかった。免疫組織化学的な検討からは、炎症反応やアポトーシスが少なく、侵襲の少ない術式と考えられた。本術式は、LASIKに比較して、特に再近視化を生じにくく、予測性や安定性に優れている術式であり、術後視機能や患者満足度の向上に貢献していた。また、エネルギー設定の検討では、エネルギーが高いほど、矯正量が大きいほど、角膜表面の平滑性は低下し、視機能への低下が懸念された。標準・高速モードによるSMILE手術の安全性・有効性や眼球光学特性はほぼ同等であり、エネルギー設定の違いが視機能に及ぼす影響は少ないことが示唆された。以上の結果より、SMILE手術が従来の標準術式であるLASIKに代わって今後普及していく可能性があると考えられた。
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