研究課題/領域番号 |
15K10848
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
根岸 一乃 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (10228281)
|
研究分担者 |
三村 將 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00190728)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 運転適性 / 実用視力 / 高齢者 / 視機能 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
<実用視力の測定時間短縮の検討>現状での実用視力検査の測定時間は1分間であるが、運転適性のスクリーニング検査としての用途を考えると、同様の結果がえられるのであれば、測定時間はできるだけ短縮されたほうが望ましい。そこで、測定時間を短縮しても、同様結果が得られるかどうかを検証することを目的として、本年度は30秒実用視力と1分間実用視力検査の結果の相関について検討した。対象は28名の健常ボランティア(平均年齢34.6歳)とし、測定時間30秒(短縮群)と測定時間1分間(標準群)の実用視力のパラメータ(実用視力、最大視力、最小視力、視力維持率、平均応答時間)について比較した。結果として、最小視力以外のパラメータでは両群間に有意差がないこと、平均視力、視力維持率、平均応答時間については両群間で有意なデータの相関があることがわかった(それぞれのパラメータに関し、相関係数(r)、有意確率(p)の順に、r = 0.604, p = 0.001; r = 0.548, p = 0.003;r = 0.450, p = 0.016)。 以上から実用視力検査のパラメータのうち、平均視力、視力維持率、平均応答時間は測定時間を30秒に短縮しても1分間の測定時間の結果と同等に使用できる可能性が示された。一方、最小および最大視力が相関しないことを考慮するとこれ以上の時間短縮を行うと実用視力の特性を生かせない可能性があることも示唆された(第31回日本白内障屈折矯正手術学会にて発表済み、現在英文論文投稿中)一方、実用視力と運転の実車成績の関係については、現在データ取得中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
短縮型実用視力検査に関しては、少なくとも測定時間30秒まで短縮することは可能であることが判明した。平成28年度中に実用視力検査と実車評価の関係についてのデータを取得する予定であったが、現在データ取得中であるもののデータの取得にもう少し時間がかかることが予測されるため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの研究により、実用視力検査に周辺視野課題を加えたプログラムの開発が技術的に困難な状況であることが判明した。 方向性として、運転者とくに高齢運転者の運転適性スクリーニング検査としての実用視力検査の有用性についてさらに追及を行う予定であり、最終年度中に実車試験の結果も踏まえて報告する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実用視力と実車成績の関係の研究データの取得が遅れており、それにともない人件費や謝金が次年度に繰り越された。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究計画の遂行のために最終的には予算通りの出費を予定しており、最終年度である今年度中に研究遂行のため、繰越額も含めて使用する予定である。
|