今年度の研究成果は以下の通りである。 1)周辺視野課題を含むプログラムの基礎開発と評価:既存のVisual Field with Inhibitory - Elderly Version(VFIT-EV)のプログラムを参考に、実用視力検査に周辺視野課題を加えたプログラムを試作した。VFIT-EVは省スペースで身体機能や言語機能などの影響を受けにくい抑制課題付き有効視野測定法の課題難易度を高齢者用に調整したもので、高齢運転者においてVFIT-EVの正答率と実車評価の間に相関がみられたことから、高齢運転適性の有効な指標として報告されているものである。本研究では、VFIT-EVによる認知機能評価に加え、視覚機能も評価できるプログラムの開発を目標とした。現状のVFIT-EVは中心視野と周辺視野に刺激を提示する二重課題法を使用しているが、中心視野の視標は、実用視力計と同様の2秒ごとに1秒間ランドルト環視標が提示され、継続的に1分間ランドルト環の向きをジョイスティックで回答させる形とした。また、周辺視野には、4種類の異なる図形がランダムに上下左右どこか1か所の周辺視野に提示される形とした。現在、中心および視野に提示される視標の大きさや提示時間は数種類選択できるようになっているが、今後どの条件が適切か、検討していく予定である。 2)昨年実用視力検査の検査時間の短縮:昨年取得した実測データは、英文論文にまとめ、現在投稿中である。 3)実用視力と運転能力について新たな母集団で実測データを取得中である。
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