研究課題/領域番号 |
15K10849
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
安田 佳奈子 東京医科大学, 医学部, 講師 (70647461)
|
研究分担者 |
志村 雅彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (20302135)
野間 英孝 東京医科大学, 医学部, 准教授 (80304442) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 白内障手術 / 硝子体手術 / 糖尿病 / 術後炎症 / 前房フレア |
研究実績の概要 |
白内障手術と同時に、硝子体手術を施行する症例について、当初は重症糖尿病のみを対象にしていたが、至適サンプル数が不足したため、黄斑円孔、黄斑前膜、裂孔原性網膜剥離、糖尿病黄斑浮腫といった網膜硝子体疾患に対象を広げたところ、200眼近く集めることが出来、これらの術後の炎症をレーザーフレアセルメーターで経時的に測定したところ、黄斑円孔や黄斑前膜の手術においては、術後炎症はほとんど見られないが、糖尿病黄斑浮腫の手術においては術前からすでに炎症が生じており、術後はさらに上昇、1か月かかっても回復しないことを見出した。また裂孔原性網膜剥離においては症例間のばらつきが大きく、手術までの日数や網膜剥離の範囲、さらに術中に施行された光凝固の照射数に、術後炎症が比例することが判明した。同時に裂孔原性網膜剥離と糖尿病黄斑浮腫の症例については、硝子体手術の術後に、ステロイド点眼と非ステロイド点眼の比較対照試験も行い、その結果、非ステロイド点眼において、術後炎症の早期の立ち上がりを抑制できることを見出した。これらの結果をまとめて、英文雑誌に投稿したところ、軽微な変更において受理されることがわかり、追加症例をまとめて、本年中に正式に受理された。(Journal of Ocular Pharmacology and Therapeutics) 一方、重症糖尿病については、臨床現場において手術適応の決定が出来ないことが多く、全身コントロールのため内科入院中に重症度が下がってしまう。また、ほとんどが重症の網膜症を伴うため、白内障単独症例の選定が難しいこともわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サンプル数の不足は否めないものの、術後炎症の評価を様々な網膜硝子体疾患に広げることで、術後炎症の経時変化の違いをとらえることが出来、しかも英文論文にて発表することが出来た。当初の重症糖尿病網膜症については、手術適応の問題はあるものの、ある程度集まっているため、引き続き解析に向けて資料を集めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
重症糖尿病で、著明な網膜症がないものの白内障手術適応である症例を対象にしてきたが、実際臨床においては意外と適応症例が少ないことが判明した。といっても20例近くはサンプルとして保存されているため、当初の50症例には満たないものの30症例の時点で、サイトカイン濃度測定を行い、予後との関連性を検討していきたい
|
次年度使用額が生じた理由 |
少額の残金を繰り越したため
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度予算と合わせて消耗品の購入に充てる
|