研究実績の概要 |
緑内障は高齢になるほど罹患率が上昇する疾患であり、日本の中途失明原因の第一位である。今後の日本の高齢化社会では高齢者の緑内障患者は増加が続くため、緑内障による失明の予防、生涯の師機能維持は今後の高齢化社会に向けて、非常に重要な課題である。 しかし、緑内障進行の判定・診断には自覚的検査である視野検査の比重が非常に高く、高齢者では視野検査自体の施行が困難であることが多々あるため、正確な病態の把握、進行判定が困難で苦慮する場合が多い。本研究は高齢者での緑内障診断・進行の客観的判定の補助となりうるバイオマーカーの確立を目的としている。 平成29年度は平成28年度に検討を行った高齢緑内障患者におけるハンフリー視野検査における信頼性基準と、認知症検査であるMMSEのスコアとの関連を検討した結果をまとめ、高齢者緑内障患者においてもOCTと視野の相関は維持されているものの、高齢者における認知機能低下がOCTと視野の相関を妨げる関与をしていることを論文および国際学会で報告することができた(Honjo et al.,Sci Rep 2017, World Glaucoma Congress2017)。 また、落屑症候群は高齢者に多い病態で、治療に抵抗を示し、高眼圧を呈する事が多いが、前房水中の生理活性脂質を検討したところ、特に眼圧と有意に相関するかたちでATX-LPA経路の活性化がみられることがあきらかとなった(Honjo et al., Invest Ophthalmol Vis Sci 2018)。
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