近年、糖尿病を含むさまざまな疾患においてポリアミンとよばれる生体内物質、およびその代謝酵素の役割が注目されている。本研究では、ポリアミン代謝酵素の糖尿病網膜症病態への関与とその産生機序を検討し、網膜グリア細胞において糖尿病網膜症類似刺激である低酸素により、ポリアミン代謝酵素であるスペルミンオキシダーゼ(Smox)の発現が亢進すること、その代謝反応により酸化ストレス増悪因子である過酸化水素およびアクロレインとよばれるアルデヒドの産生が増加することが示された。本結果は、低酸素により惹起される酸化ストレスの亢進にSmoxが寄与しており、糖尿病網膜症の病態形成に同分子が関与している可能性を示していた。
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