研究課題/領域番号 |
15K10868
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高 知愛 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (70314797)
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研究分担者 |
近間 泰一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (00263765)
木内 良明 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (40214738)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 眼細胞生物学 |
研究実績の概要 |
本研究はin vitroでの角膜再生及びその機能の維持機構を明確にし、角膜再生の条件を突き止めることを究極の目的とし、角膜を構成する各細胞同士(上皮細胞、神経細胞、実質細胞)がどのように影響しあっているのか、あるいは角膜機能にどのように関与し、制御をおこなっているのかを明らかにしようとする研究であります。最終的には、実際に臨床現場での角膜移植に繋がる人工的なより生体に近い角膜再生を目指し、様々な治療困難をされる疾患に対しての治療薬に繋がるファクターの同定、治療に対するメカニズムなどを解明しようとするものであります。 その為に、まず、今まで行っていた異なる細胞同士の共培養システムを参考にし、(すでに、角膜以外の複雑に異なる細胞同士で構成されている網膜など、目の他の組織での細胞を用いて、共培養系のシステムを確立させています)実際に、角膜細胞での共培養系を実施し、そこから様々な実験系を見出すことを期待しています。 網膜組織を用いた共培養の研究の成果としては、網膜色素上皮細胞と神経細胞との共培養により、網膜色素上皮細胞内で、神経ガイダンス因子であるセマフォリン4Aの発現が増加していることがわかりました。しかも、その現象は、神経細胞から分泌されるPACAP神経性因子によるものであることが証明されました。このような培養系をさらに発展させ、今まで難しいとされた神経細胞と同時に異なる細胞間、3者の共培養システムを確立できると、今後さらなる新しい治療開発への基盤を提供できる様になると期待されます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は現在までおおむね順調に進展していると評価できると考えられます。 その根拠としては、申請時、初年度の研究計画である共培養システムの確立に関して、培養に用いる重要なマトリックス(pore membrane)の試験実験も成功しており、実際にその結果などを学会発表、論文により報告しています。 その培養の条件から、今後もっと複雑な生体内に近い環境での共培養ができると考えています。従って、この研究は当初の計画通りに進行していると考えられます。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進み方としては、今までの共培養システムを用いた成果を元に、実際に角膜移植などで応用できる人工角膜の作成であると思います。角膜を構成する様々な細胞種に適する培養環境を整える条件を決め、in vitroでの3次元培養で人工的に角膜再生の作成を行っていきたいと思います。 さらに、三叉神経の角膜上皮細胞、実質細胞に及ぼす様々な影響を詳細に証明していき、角膜損傷治癒の過程で有効に応用できる因子の同定、治療薬開発に貢献したいと考えています。さらに、角膜上皮細胞の重層化に大きなファクターである酸素の影響も考え、その酸素の影響と神経性因子との関連にも着目し、総合的な角膜細胞に対する制御の解明に取り組みたいと考えています。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度はこの研究の本筋とも言える各種の角膜細胞を含め、様々な初代培養細胞を用いて共培養実験を行わなければならないために、多少の追加実験が必要になると考えられる。さらに、次年度はこの申請研究の最終年度であるため、今までに得られた結果をまとめ、社会、国民に発信するため、様々な学会での発表(旅費)、論文に仕上げ国際詩に発表(その他;校閲)のため、研究費を申請させて頂きたいと考えています。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度ももっと生体内に近い環境での共培養システムの確立のため、様々な新たに開発されている培養器具(transwellなど)の購入、論文の校閲費などに使用したいと考えています。
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