研究実績の概要 |
(jup/jup)floxマウスと(jup/+;Krt12Cre/+)マウスの交配し、角膜特異的プラコグロビン遺伝子欠損マウスである、(jup/jup,krt12)を作成した。 jup遺伝子とkrt12遺伝子の両者は共に11番染色体に存在するが、0.55cMの極近傍にあるので、理論上200分の1以下の確率となるところ、新生仔獣202匹のうち2匹の染色体組換えを起こした角膜特異的プラコグロビン遺伝子欠損マウス仔獣を得、その後コロニーを拡大した。作成した角膜特異的プラコグロビン遺伝子欠損マウスを用いて、野生型(n=5)および角膜特異的プラコグロビン遺伝子欠損マウス(n=5)に直径2mmのトレパンとメスで円形の角膜上皮欠損を作製後、経時的(6,12,18,24,30,42,48時間後)にマウスを屠殺し、上皮欠損部の面積を測定し、WTマウスと、角膜特異的プラコグロビン遺伝子欠損マウスとの、創傷治癒の速度の違いを比較することにより、創傷治癒への影響についての検討を行った。 角膜特異的プラコグロビン遺伝子欠損マウスで欠損部の閉鎖が抑制されていたが、12時間後と30時間後で有意に欠損部の閉鎖が抑制されていた。以前我々が、検討を行った、エピプラキンノックアウトマウスでは、角膜上皮剥離作成後48時間までの経時的な観察の中で、上皮修復はKOマウスで促進されて、18時間後で有意差が検出されていた。 細胞接着因子であるエピプラキン欠損と同様に、プラコグロビンの欠損により創傷治癒に異常をもたらすことを確認した。ただし、エピプラキン欠損とは、結果が逆であったため、今後は、プラコグロビン遺伝子欠損が、創傷治癒の抑制に及ぼす影響について、検討を行う必要がある。
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