研究実績の概要 |
Muc16ノックダウンヒト角膜上皮細胞にTLRが認識する菌体成分を暴露した時の炎症性反応の状態を検討した。siRNAによりMuc16発現をノックダウンしたSV40不死化培養ヒト角膜上皮細胞(Araki-Sasaki ヒト角膜上皮株)を用いた。ノックダウン効率はSigmaキットによるRNA抽出後のTaqMan real-time RT-PCRとウエスタンブロットで確認した。菌体成分として緑膿菌からのLPS(Sigma-Aldrich, St.Louis, MO、1000 ng/ml)と黄色ぶどう球菌からのPGN(Fluka, Buchs, Switzerland、1000 ng/ml)を使用した。 (C群)コントロールsiRNA細胞、(M群)siRNA-Muc16ノックダウン角膜上皮培養細胞とした。両群にLPSまたはPGNを24時間暴露した。①24時間後にIL-6、TNFαの発現をTaqMan Real-time RT-PCRで, ②48時間後にELISAで測定し両群で比較した。③LPSまたはPGN暴露後、30分から6時間まで経時的に炎症性シグナル伝達(NF-κB リン酸化RelAとリン酸化Stat3)の活性化をウエスタンブロットで検討した。 ①②ともIL-6およびTNFα mRNAの発現量はLPS暴露後、PGN暴露後ともM群でやや多かったが、有意差はなかった。 ③NF-κB リン酸化RelAとリン酸化Stat3は両群とも増加していた。M群でやや多かったが、有意差はなかった。 以上より、Muc16発現抑制により炎症性反応の増強の可能性があるが、有意差は得られなかった。
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