研究課題
平成27年度に実施した研究成果は大きく分けて、施設移動に伴う新たなるサンプル収集のための準備・整理と候補遺伝子のリストアップに分けられる。1) サンプル収集:施設が申請後移動となったため、まず旧施設である埼玉医科大学の倫理委員会の承認の下文書にて同意を得られたAMD類縁疾患患者および非罹患患者のサンプル整理を行った。ゲノムDNA精製を行うとともに、生活環境因子(年齢、性別、身長・体重 (BMI)、喫煙歴 (pack/year)、心疾患、糖尿病、高血圧等)の聴取も行った。 結果、累計18サンプル(平成28年3月24日現在)の収集が終了した。国際医療福祉大学病院におけるサンプル収集のための施設・人員整備を進めているが、こちらが思いの他進展していないのが問題である。2)候補遺伝子のリストアップと遺伝子解析:ゲノムデータベース情報(Database of Genomic Variants、dbGaPデータベースの米国Age-Related Eye Disease StudyなどのAMD のGWAS情報)および申請者グループが独自に行ってきたGWASデータ(「加齢黄斑変性症の発症リスクの予測方法」特願2007-194922) を活用し、AMD関連SNPのうち特に疾患感受性の高い遺伝子を選出した。これを参考にシーケンス以外の追加データ解析の検討を行った。
3: やや遅れている
科研費を申請した後に、全く予測をしていなかった移動が決定してしまったため、研究遂行に関して、新しい施設でのサンプル収集のための施設・人員整備を進めている。ただ、旧施設で10年間かけて整備してきたことが、新施設で一朝一夕に出来るはずもなく、いくつかのシステム上の問題があり、この解決に予想以上に時間がかかってしまっている。ただ、それもようやく稼働できる状況になってきており、平成28年度では十分なサンプルが集められると考えている。
平成28年度前半では、新施設におけるサンプル収集の整備を行うとともに、サンプル収集を開始する。すでに旧施設で集められているサンプルは20例ほど集まっているが、これに関しては、次世代シーケンサを用いたエクソーム解析を行う。このエクソーム解析は、すでに他疾患では行われており、技術的には何ら問題ない。唯一の問題点として考えられるのが、サンプル数が目標数に達しない場合だが、これに関しても既に、治療に関する個別化医療に関して、黄斑疾患個別化医療研究会を立ち上げ、全国 16 施設と共同研究を行っている。このうち、多くのサンプルを持っている施設からサンプルもしくは遺伝情報の供与を受けることで、 問題は解決できると考えられる。
現在までの進捗状況の項で記載したが、予期せぬ施設移動に伴い、サンプル収集が遅滞しており、その結果として、エクソーム解析にとりかかれずにいる。結果、エクソーム解析用の物品費は購入できずにいる。今年度はサンプル収集を可及的速やかに行い、エクソーム解析を実施できるように進める予定である。
次年度支給額と今年度の繰越金を合わせて、エクソーム解析の物品費(消耗品費)充てる予定である。サンプル数を40とすると、繰越金を合わせて、丁度必要な消耗品費となる計算である。サンプル数がある程度予定に近づいたら、エクソーム解析用の物品費を購入予定である。
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Nat Genet
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