研究課題/領域番号 |
15K10891
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橋田 徳康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師(常勤) (30456959)
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研究分担者 |
川崎 諭 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授(常勤) (60347458)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 慢性炎症 |
研究実績の概要 |
ヒト慢性炎症性眼疾患の病態形成におけるミトコンドリアDNAの直接的な関与を明らかにすることを目的として、ミトコンドリアDNAなど自然免疫センサーを刺激する内因性リガンドの検出・定量を疾患ごとに行った。血清は取り方に依存せず安定した採取が得られるが、涙液は採取方法によるばらつきがでるので採取方法を検討した。涙液の採取に関して既知量のフルオレセインによる定量法を用いることにより定量的に採取する方法を確立した。実際の臨床サンプルに関して、具体的には、ドライアイなどの眼表面疾患・強膜炎などのぶどう膜炎疾患・加齢黄斑変性などの網膜疾患患者を解析の対象とした。患者の涙液および血清を採取し、そこに含まれるミトコンドリアDNAの検出定量を試みた。同時に、涙液に含まれる様々な炎症関連タンパクを包括的に解析した。その結果、涙液においてミトコンドリアDNAが検出されることを見出し、角膜疾患で上昇していることを明らかにした。血清では各疾患には有意差はみられなかった。炎症関連タンパクの網羅的解析の結果、IL-6、TNF-alphaなどのサイトカインの上昇を認めた。患者由来のサンプルから核酸成分を抽出し、培養細胞に作用させることにより、炎症反応を惹起させることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書のとおり、サンプル採取ができており解析が着々と進んでいる。涙液中におけるミトコンドリアDNAの検出に成功し、疾患ごとにミトコンドリアDNAの違いがあることを見い出せており、研究成果が上がっていると思われる。次年度に向けて、研究の見通しが立っており、順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
抽出した細胞が実際に免疫センサーを刺激するのか、様々な受容体(TLR4, TLR9など)を細胞表面に発現したレポーター細胞を用いた細胞アッセイを行う予定である。疾患ごとのサンプル採取を継続し、有意差を確かめる。サイトカイン、熱ショック蛋白、HMGB1等の他の因子の発現定量も合わせて行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は予定していた金額よりも小額で研究が施行できたため、今年度分を次年度に繰り越して次年度分と合わせて研究を試行する予定である。慢性炎症性眼疾患患者からの数多くのサンプリングと、涙・血液に含まれるミトコンドリアDNAを検出に成功し、研究成果については論文よりも先に特許申請を行い研究成果としては順調にでている。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画書にあるように、更なるサンプリングを行い免疫センサーのパネル細胞を用いた研究を進める予定である。
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