研究課題/領域番号 |
15K10893
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
瓶井 資弘 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40281125)
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研究分担者 |
植村 明嘉 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30373278)
西田 健太郎 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70624229)
福嶋 葉子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70647031)
坂口 裕和 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (80379172)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 血行再建 / APC(活性型プロテインC) / 網膜アストロサイト / 網膜血管周皮細胞 / 神経保護 / 虚血性疾患 |
研究実績の概要 |
1.網膜虚血性疾患の動物モデルとして、酸素誘導網膜症(OIR)モデルを用い、活性化プロテインC(APC)をマウス硝子体内に投与した結果、網膜無灌流領域の縮小、網膜新生血管の発症抑制効果が得られた。このことを、APCの容量、投与時期を変えて検討した。さらに、この効果に関与する細胞種の同定を行った。現在、網膜アストロサイトに着目し、血行再建のメカニズムを解明している。 2.網膜血管周皮細胞脱落モデルマウスに用いられる、抗PDGFRβ抗体をOIRモデルマウスの腹腔内に投与した結果、虚血網膜症における網膜血管周皮細胞消失によりOIRモデルにおける血管新生を妨げることを示し、成体まで無灌流領域が遷延する新しい虚血網膜症モデルマウスを確立できた。さらに、免疫染色やリアルタイムPCRを用いて遷延化に関与する細胞の同定及び遺伝子の定量解析を行った。現在このモデルマウスを用いて、APCを投与し、無灌流領域の縮小の可否を観察中である。また、抗PDGFRβ抗体の容量を変え、虚血遷延化モデルマウスを安定して作成できるよう継続して検討している。 3.APCの虚血性網膜症に対する臨床研究については、研究成果について現在論文投稿中であり、リバイスしている段階である。これまでの成果は、将来的に有効な分子標的治療の開発や、全身の虚血性疾患の治療法開発に資すると期待され、その達成に向け、着実に成果が出つつあると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度血液製剤のAPCからリコンビナントAPC製剤に変更し、実験を行った結果、期待されるAPCの効果が十分に得られなかった。そのため研究の進行が滞る時期があった。再度血液製剤APCに戻し、現在は比較的高い確率でAPCの効果発現を得られている。
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今後の研究の推進方策 |
現在進めている網膜虚血性疾患モデルにおける血行再建のメカニズム解明を継続して行う。本年度は、現モデルに加えて抗PDGFRβ抗体誘導網膜血管周皮細胞脱落モデルマウスへのAPC投与において、血行再建の経時変化における細胞同定・動態を免疫染色を用いて評価する。網膜血管発生において、血管のガイダンスと進展終止の調整を司っていると考えられている網膜アストロサイトに対するAPCの作用メカニズムの解明を継続し、細胞挙動や発現分子の変化を、通常状態及び虚血条件下で調べていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)リコンビナント製剤使用により実験成果にばらつきがでたこと、および研究協力者である大学院生の技術習得に時間を要し、予定していた実験ができず、来年度に繰り越したため。
(使用計画)未実行の研究を遂行する。各種の動物モデルマウスを用いてAPCの投与実験を引き続き行う。
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