研究課題/領域番号 |
15K10898
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉田 宗徳 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60273447)
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研究分担者 |
植村 明嘉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30373278)
小椋 祐一郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70191963)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 第一次硝子体過形成遺残 / Sema3E / PlexinD1 |
研究実績の概要 |
新生仔マウス網膜では、硝子体血管が視神経乳頭周囲の毛細血管網と吻合することにより、網膜動脈が形成されて網膜循環が開始する。平成27年度は、硝子体血管の網膜内進入を制御する分子機構を明らかにするため、軸索反撥因子として知られる可溶型リガンド分子semaphorin 3E(Sema3E)と、膜貫通型受容体PlexinD1の発現パターンを解析した。新生仔マウス眼におけるin situ hybridization実験では、網膜神経節細胞がSema3Eを分泌するのに対し、硝子体血管内皮細胞がPlexinD1受容体を発現することが明らかとなった。さらに、Sema3Eノックアウトマウスでは硝子体血管が異所性に網膜内に進入することが明らかとなった。これらの結果から、神経節細胞由来のSema3Eが拡散して硝子体血管内皮細胞のPlexinD1受容体に結合することにより、硝子体血管の網膜内異所性進入を防いでいると考えられた。硝子体血管が網膜に付着した部位では、ヒト第一次硝子体過形成遺残(persistent hyperplastic primary vitreous, PHPV)と同様に網膜ヒダが形成され、網膜組織構造が破綻していることが明らかとなった。さらに、硝子体血管の網膜内異所性進入部位付近では、網膜血管の形成が障害されていることが明らかとなった。また、超広角走査レーザー検眼鏡を用いた経時的イメージング解析により、こうした病態は成体に至るまで残存することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた平成27年度の研究計画を、ほぼ達成している。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、Sema3E-KOマウスの眼内にSema3Eリコンビナント蛋白質を投与し、硝子体血管の網膜内異所性進入、および網膜構造・機能の改善効果を新生仔期および成体期において検証する。また、低分子量G蛋白質RhoJは、Sema3E-PlexinD1シグナルの下流で硝子体血管の網膜内異所性進入を防いでいる可能性が示唆されるため、RhoJ-KOマウスにおけるPHPVについても組織学的解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は、計画していた研究の一部を別予算(奨学寄付金等)にて実施することが出来たため、残額を平成28年度に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は主に物品費の購入および人件費に充当する。
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