研究課題
血管内皮増殖因子(VEGF)に結合するアプタマーを用いて、申請時点では15分以内に100 pg/mLまで測定できていたが、アプタマー自体の改良と測定条件の改良を進め、10 pg/mLまで測定できるようになった。特に最終年度は測定条件においてカチオン濃度によるアプタマーの高次構造変化、G4構造が重要であることを見出した。G4構造はテロメアに含まれるG4形成配列であるTTAGGGの四回繰返し配列が形成する構造であり、カチオンの濃度によって異なるトポロジーの立体構造を形成する。そして更に、構造変化を抑制する、あるいは狙って高次構造を変化させる添加物質を見いだすことに成功した。それはG4結合性を示す天然化合物であるテロメスタチンの構造を元に開発されたL1H1-7OTDであり、L1H1-7OTDの添加によって極低濃度即時測定を可能とした。このような極低濃度を短時間に測定できる系は今までになく、本研究は、VEGF以外にも各種サイトカイン・腫瘍マーカー・細菌・腫瘍細胞・環境ホルモンなど様々な標的に対するアプタマーの酵素標識に応用でき、汎用性が非常に高いといえる。本研究計画の達成により、様々な疾病マーカーや細菌を迅速に測定し、迅速かつ簡便に患者の状態を把握し、早期診断および適切な治療を患者に施すことが可能となる。医学以外の分野でも、環境ホルモンや化学一般など微量濃度測定の関係する全ての分野に有用である。眼科分野においては眼房水のサイトカイン濃度検討を行い、病態のとの関連を報告した。中でもSakamoto S, et al. Br J Ophthalmol 2018は滲出型加齢黄斑変性に対する抗VEGF治療導入期の前房中炎症性サイトカイン濃度変動を報告したもので、VEGFのみの抑制であっても多くの炎症性サイトカイン濃度が激減することを示した最初の報告となり、治療中の病態変化を解明した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 備考 (1件)
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https://researchmap.jp/hidenoritakahashi/