研究課題
本研究ではnuclear factor-kappa B(NF-kB)に注目し眼炎症疾患に対するNF-kB 分子特異的な眼局所療法の開発を目的として1) NF-kB阻害剤であるDHMEQ (dehydroxymethyl-epoxyquinomicin)の硝子体内投与による実験的自己免疫性ぶどう膜炎網膜炎(EAU)の抑制効果の検討、2) DHMEQ による網膜色素上皮細胞株(ARPE-19)に対する細胞毒性、炎症関連接着分子、およびケモカイン産生の抑制効果の検討、3) DHMEQによるNF-kB 分子の核内移行の阻害効果について検討を行った。1)ではA)EAU誘導+基剤投与群、B) EAU誘導+DHMEQ投与群の2群を作成し、EAUの発症が観察される免疫後10日目にDHMEQを硝子体内投与しDHMEQの有効性を検討した。その結果、免疫後12、14、16日目でEAUスコアを比較したところ両群間に有意差は認められなかった。2)についてはARPE-19にDHMEQを付加し培養を行ったところ100ug/mlの濃度において細胞増殖抑制効果、およびアポトーシス誘導効果を認めた。ARPE-19をTNF-a単独で刺激した群に比較し、DHMEQを付加した群ではIL-8などのケモカイン産生、ICAM-1の発現、各TLRsの発現が有意に抑制された。3)についてはTNF-a単独群とDHMEQ付加群においてNF-kB 分子の核内移行の程度に明らかな違いはみられなかった。以上の結果からDHMEQの硝子体内投与でのぶどう膜炎に対する抑制効果がみられなかったものの、in vitroにおける網膜色素上皮細胞培養株において抗炎症効果が確認された。これらの結果より眼炎症疾患に対するDHMEQの炎症抑制効果が示唆されたものの、炎症眼に対するDHMEQの投与経路、投与量についてさらなる検討を要する。
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