研究課題/領域番号 |
15K10905
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
三浦 雅博 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60199958)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 偏光 / 光干渉断層計 / 黄斑疾患 / 血流 / 網脈絡膜 / 網膜色素上皮 |
研究実績の概要 |
本研究における多角的画像解析では、強度画像と偏光画像と血流画像を同時に取得する多機能光干渉断層計(OCT)の臨床運用が核心部分となる。この多機能OCTはJones matrixを基礎として各種画像を算出するものである。血流画像算出方法として、Complex differential variance algorithmを発展させたcomplex correlation mapping algorithmを開発した。さらに強度画像についても,Bayesian maximum posteriori estimation frameworkを基に信号減衰の影響の少ない画像を算出する方向を考案した。引き続き多機能Jones matrix OCTの限定的臨床研究を実施した。正常眼、緑内障眼、近視性黄斑症眼を観察した結果、網膜色素上皮異常、篩状板におけるコラーゲン線維構造変化といった、通常のOCTでは得られない多くの臨床情報を得る事に成功した。これは本研究で使用する多機能OCTの臨床的有用性を証明するものである。これらの研究成果をふまえ、2015年9月から眼科外来における多機能Jones matrix OCTの本格的臨床運用を開始した。その結果、延230名の患者の撮影を実施し、測定結果の解析を進めている。この研究成果は日本眼科学会総会(2016年4月)、ARVO(2016年5月)、日本眼光学学会(2016年9月)、アメリカ眼科学会(2016年10月)、日本臨床眼科学会(2016年11月)において順次発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多機能Jones matrix OCTによる画像解析に関する理論的構築を実施した。これにより黄斑疾患の多角的画像解析に関する基礎的準備が確立された。さらに少数例による臨床研究を実施し、多機能Jones matrix OCTの臨床有用性が確認された。これらの成果を踏まえ、眼科外来における多機能Jones matrix OCTの本格臨床運用を開始し、延250名の患者の計測を実施した。得られた計測結果と従来型画像診断(カラー眼底、短波長自家蛍光、近赤外自家蛍光、近赤外画像、フルオレセン蛍光眼底、インドシアニングリーン蛍光眼底)を比較する事により、加齢黄斑変性および内眼炎における多角的画像解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に計測した延250名の患者の計測データに関する詳細な解析を進める。現行の解析は手動で行なっている。しかし計測の再現性確保および実用化のためには、解析の自動化が必要である。そこで病変検出の自動化のために、病態ごとに、最適なフィルターや信号閾値設定を検討し、解析の半自動化を目指す。また対象眼数を増やして解析手法を改良する事により、解析方法の信頼性を向上させる。さらに3次元構造を数値化する手法を開発し、臨床応用に向けたパラメーターの構築を行う。こうして得られた解析手法を基に、加齢黄斑変性等の各種網脈絡膜疾患の3次元病態解析を実施する。また診断技術、治療効果判定への応用を実施し、臨床応用を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で使用する機器の購入費は殆どが2万円以上であり、学会出張費も4万円以上の経費がかかる。そのため、未使用額13,967円は有効活用する事が困難なため、次年度繰り越しとした。
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次年度使用額の使用計画 |
多機能Jones matrix OCTによる画像解析を実施するためのソフトLabViewのライセンス更新料として422,820円が必要となる。論文執筆および投稿掲載に関する費用が約20万円、学会発表のための出張費用が約20万円必要となる。その他の消耗品の購入に約10万円が必要となる。
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