研究課題/領域番号 |
15K10905
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
三浦 雅博 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60199958)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 光干渉断層計 / 偏光画像 / 加齢黄斑変性 / メラニン / ぶどう膜炎 |
研究実績の概要 |
1. 加齢黄斑変性における網膜色素上皮細胞(RPE)の網膜内遊走の解析。加齢黄斑変性155眼を対象にしたtranslational researchである。RPE網膜内遊走は市販OCTで観察されるHyper reflective fociの組織としてRPE網膜内遊走が有力視されてきたが、あくまでも推察に過ぎなかった。本研究では、多機能Jones matrix OCTで得られたメラニン3次元分布と臨床用自家蛍光画像を比較検討する事により、Hyper reflective fociの中からRPE網膜内遊走を判別した。この結果、RPE網膜内遊走が網膜色素上皮剥離では高頻度に観察される事が判った。また多機能Jones matrix OCTを用いる事により、近赤外自家蛍光画像の所見を3次元で解析可能な事も判った。本研究の研究成果は日本眼科学会総会(2016年4月)、ARVO(2016年5月)、日本網膜硝子体学会学会(2016年12月)で発表し、2017年1月に英文誌Scientific Reports に投稿し査読中である。 2. Vogt-Koyanagi-Harada disease(原田病)の夕焼状眼底の定量解析。原田病28眼を対象にしたtranslational researchである。夕焼状眼底は原田病の代表的所見であるが、現状では医師の主観的判断によって診断され、客観的定性・定量は不可能であった。本研究では、多機能Jones matrix OCTで得られた脈絡膜メラニン3次元分布から、夕焼け状眼底の定量解析を実施した。この結果、夕焼状眼底の進行を定量解析できる事が実証され、原田病の診断治療に革新的な進歩が期待された。本研究の研究成果はARVO(2017年5月)で発表予定であり、2017年4月に英文誌Invest Ophthalmol Vis Sciに投稿し査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多機能Jones matrix OCTの臨床応用について検討した。これにより、加齢黄斑変性と原田病に対する臨床有用性が実証された。これらの成果を踏まえ、眼科外来における多機能Jones matrix OCTの本格臨床運用を継続し、2016年度に延130名の患者の計測を実施した。得られた計測結果と従来型画像診断(カラー眼底、短波長自家蛍光、近赤外自家蛍光、近赤外画像、フルオレセン蛍光眼底、インドシアニングリーン蛍光眼底)を比較する事により、さらなる臨床用の可能性に関する検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2016年度に計測した延130名の患者の計測データに関する詳細な解析を進める。現行の解析は手動で行なっている。しかし計測の再現性確保および実用化のためには、解析の自動化が必要である。そこで病変検出の自動化のために、病態ごとに、最適なフィルターや信号閾値設定を検討し、解析の半自動化を目指す。また対象眼数を増やして解析手法を改良する事により、解析方法の信頼性を向上させる。さらに3次元構造を数値化する手法を開発し、臨床応用に向けたパラメーターの構築を行う。こうして得られた解析手法を基に、加齢黄斑変性等の各種網脈絡膜疾患の3次元病態解析を実施する。また診断技術、治療効果判定への応用を実施し、臨床応用を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度はLabViewのライセンス更新料として約40万円、論文執筆および投稿掲載に関する費用が約20万円、学会発表のための出張費用が約20万円が必要となるため、予算が不足しており繰越金が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年度はLabViewのライセンス更新料として約40万円、論文執筆および投稿掲載に関する費用が約20万円、学会発表のための出張費用が約20万円を支出予定である。
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