主要な失明原因のひとつである角膜疾患は角膜移植で治療するが、他の臓器移植と同様に術後に移植片機能不全となり視力を失うことが少なくない。この原因のほとんどが角膜内皮細胞減少である。これまでの我々の臨床研究から、角膜内皮細胞減少の原因に虹彩と前房環境の病的変化があることを示した。我々の研究から、虹彩・前房水・角膜内皮・角膜実質・涙液と様々な組織を横断した相互作用と恒常性維持機構があり、角膜疾患、特に角膜移植の予後の悪い患者では、そのどれかが病的状態となり、周りの組織に悪影響をし、失明にいたることがわかってきた。今後は病的な前房水の変化をどのように診断し、どのように治療するかをさらに追及したい。
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