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2015 年度 実施状況報告書

アクアポリン4の黄斑浮腫への関与と、その制御による治療

研究課題

研究課題/領域番号 15K10909
研究機関大阪医科大学

研究代表者

喜田 照代  大阪医科大学, 医学部, 講師 (90610105)

研究分担者 奥 英弘  大阪医科大学, 医学部, 准教授 (90177163)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードアクアポリン4 / 一酸化窒素 / ミュラー細胞 / VEGF / 網膜血管細胞
研究実績の概要

アクアポリン(AQP)は脳浮腫の発症や治癒に関与している水チャネルで、網膜血管や網膜ミュラー細胞にも発現している。また一方で、血管内皮由来弛緩因子である一酸化窒素NOは、AQP4の機能や発現に関与し、また血流調節にも影響をおよぼすため、神経網膜内の水移動に関与している可能性が高いと考えられている。
臨床では、視力低下を引き起こす糖尿病黄斑浮腫の発症に血管透過性亢進を引き起こす血管内皮増殖因子(VEGF)が関与することは既に周知の事実で、現在抗VEGF療法が広く行われているが、反復投与が必要であり、また難治性の黄斑浮腫が散見される。
そこで、健常ラットおよび糖尿病ラットにおいて、VEGF硝子体投与による網膜におけるAQP4発現の有無について検討した。網膜切片の免染では、VEGF染色もAQP4染色もストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットで増強し、AQP4染色では特に網膜内層の染色が増強された。次にvitro実験として、培養細胞の網膜ミュラー細胞を用いてアクアポリン4阻害剤のTGN-020を投与した場合、low glucoseとhigh glucose状態で細胞容積が変化するかFACS解析したところ、TGN-020を前投与するとhigh glucose状態では細胞容積は減少した。また、AQP4発現の調節に一酸化窒素NOの関与が示唆されており、NOの蛍光probeであるDAFを用いてlow glucoseとhigh glucose状態でミュラー細胞のFACS解析を行ったところ、high glucose状態でDAFの蛍光は増強した。糖尿病網膜浮腫の機序の一つとして、VEGFだけでなくAQP4とNOを介した網膜ミュラー細胞浮腫の関与の可能性が考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目標通り、今年の国際学会ARVOにて、"Possible involvement of aquaporin 4 and nitric oxide in the high glucose-induced swelling of Muller cells in rat retina"という演題で実験成果を発表した。また、日本眼科学会の糖尿病網膜症のシンポジウムでも実験データをお示しした。

今後の研究の推進方策

今後は、網膜ミュラー細胞だけでなく、網膜血管内皮細胞についても検討し、また、アクアポリン4の一酸化窒素を介した網膜血流への影響については、レーザースペックル法で実際に血流測定を試みる予定である。
また、今回実験と文献検索を進めてきて、酸化ストレスがHIF-1の発現を介してVEGFやアクアポリン4の発現を誘導することがわかっているので、網膜における酸化ストレスの関与についても実験も計画し、アクアポリン4の網膜浮腫への関与についてさらに検討したいと思う。

次年度使用額が生じた理由

次年度では、次のステップとして、アクアポリン4の網膜血流への影響をvivoで調べるため、レーザースペックル装置のラット用測定用補助具が必要となりその補助具や培養細胞を購入予定で次年度使用額が必要であるため。

次年度使用額の使用計画

今までの実験データの再現性を確認し、アクアポリン4の網膜血流への影響をvivoで検討する。また、vitro実験としては、網膜ミュラー細胞だけでなく、網膜血管細胞も用いて今年度と同様FACS解析も行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Negative impact of AQP-4 channel inhibition on survival of retinal ganglion cells and glutamate metabolism after crushing optic nerve.2016

    • 著者名/発表者名
      Nishikawa Y, Oku H, Morishita S, Horie T, Kida T, Mimura M, Fukumoto M, Kojima S, Ikeda T.
    • 雑誌名

      Exp Eye Res

      巻: 146 ページ: 118-127

    • DOI

      10.1016/j.exer.2015.12.012.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] NADPH oxidase-mediated ROS production determines insulin’s action on the retinal microvasculature.2015

    • 著者名/発表者名
      Kida T, Oku H, Horie T, Matsuo J, Kobayashi T, Fukumoto M, Ikeda T
    • 雑誌名

      Invest Ophthalmol Vis Sci

      巻: 56 ページ: 6754-6761

    • DOI

      10.1167/iovs.15-17534.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Nitric Oxide Increases the Expression of Aquaporin-4 Protein in Rat Optic Nerve Astrocytes through the Cyclic Guanosine Monophosphate/Protein Kinase G Pathway.2015

    • 著者名/発表者名
      Oku H, Morishita S, Horie T, Kida T, Mimura M, Fukumoto M, Kojima S, Ikeda T.
    • 雑誌名

      Ophthalmic Res

      巻: 54 ページ: 212-221

    • DOI

      10.1159/000440846.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Possible involvement of aquaporin 4 and nitric oxide in the high glucose-induced swelling of Muller cells in rat retina.2016

    • 著者名/発表者名
      Teruyo Kida, Hidehiro Oku, Masanori Fukumoto, Yoshitaka Okuda, Seita Morishita, Taeko Horie, Hiroyuki Suzuki, Takatoshi Kobayashi, and Tsunehiko Ikeda
    • 学会等名
      ARVO(Association for Research in Vision and Ophthalmology )
    • 発表場所
      シアトル(アメリカ合衆国)
    • 年月日
      2016-05-01 – 2016-05-05
    • 国際学会
  • [学会発表] シンポジウム2016

    • 著者名/発表者名
      喜田照代
    • 学会等名
      第120回日本眼科学会総会
    • 発表場所
      仙台国際センター(宮城県・仙台)
    • 年月日
      2016-04-07 – 2016-04-10
    • 招待講演

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公開日: 2017-01-06  

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