研究課題
I)血清サンプル数をさらに増やしてSEMA4Aの濃度と疾患との特異性について検討を加えた。血清中SEMA4A濃度は視神経炎(3600+/-5023IU/n=10)原田病(2811+/-5286IU/mln=20) 増殖糖尿病網膜症(1229+/-2773IU/mln=20)裂孔原生網膜剥離(3780+/-6803IU/mln=20)であった。炎症性疾患である視神経炎・原田病では増殖糖尿病網膜症(PDR)患者と比較して平均で約3倍高くなっていた。一方で裂孔原生網膜剥離(RRD)患者においてもPDRの約3倍の平均濃度であった。濃度検討を進めていくにあたり、同じ疾患であっても患者間に大きな濃度差があることが明らかになった。血清中の濃度のばらつき原因について検討を進めた。用いたサンプルは白内障患者の術前血清であった。白内障患者60名の結果であるが、年齢によるSEMA4Aの濃度傾向は認めていない。これまでの疾患と同様に症例ごとにSEMA4A値が高いもの、低いものの差が非常に大きなことが特徴である。平均濃度は(3842+/-9859IU/ml)であった。SEMA4Aが炎症性疾患で上昇することは大阪大学奥野講師らの研究でわかっている。白内障患者のうちで血清SEMA4A値が高かった疾患を詳細に検討してみると全身疾患として、自己免疫性肝炎や細菌感染後の膀胱炎・膿尿が血液サンプル採取時に持続していた患者や、結核に罹患して治療歴がある患者が見受けられた。一方で、眼サルコイドーシスの既往があり、現在炎症のないプレドニン治療中のステロイド白内障患者ではSEMA4A濃度は検出感度以下であった。II)SHG顕微鏡を用いてマウスレーザー網膜下血管新生モデルの血管新生線維化の定量について試みた。マウス網膜下血管新生後の線維化について3次元解析を行うことによって、非侵襲的にかつ、簡便に定量することができた。
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