研究課題/領域番号 |
15K10913
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
万代 道子 国立研究開発法人理化学研究所, 多細胞システム形成研究センター, 副プロジェクトリーダー (80263086)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 視細胞移植 / 自己組織化網膜 / シナプス定量 |
研究実績の概要 |
昨年に引き続き、視細胞のシナプス末端がtdTomatoでラベルされた、2種類の遺伝改変株について、自己組織化による網膜分化誘導後、網膜変性マウスに移植し、シナプス定量を試みた。シナプス末端をラベルしたホストが得られなかったため、バックアップとしてホストの双極細胞がラベルされたマウスでのシナプス定量を行っているが、双極細胞と移植視細胞が共にGFPラベルされていたためGFPとtdTomato陽性の共存だけではシナプス判定できず困難をきたしたため、Thy1-GCAMPの ES細胞株を用いて、新たに視細胞のGFPがない状態でシナプス末端のみtdTomatoでラベルされた移植株を用意した。さらに前シナプスマーカーの染色が可能となったため、シナプスの定量評価が可能となった。同時にシナプス前後マーカーを用いたシナプス自動定量計測法についても検討中である。 ホスト双極細胞のシナプス端末のラベリングについては今年度中にはうまくいかず、再度シグナルペプチドと蛍光タンパクなどの順番をかえて再度作成中である。 また、これらのシナプス可視化サンプルを用いて連続電顕を用いてシナプスの性状の解析も試みている。 また、網膜の移植後機能評価として多電極アレイを用いた評価プロトコルを確立、結果として得られるガングリオン細胞応答についてもその性質によるclustering programを作成し、移植後の機能を電気生理学的に定性的、定量的に評価する方法を確立した。この系を用いて、移植4週後にはシナプスが形成されていることが示唆された。現在遺伝改変株の移植後についてもこれらのプログラムを用いて解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りの方法ではないものの、ほぼシナプスの定量評価も可能となってきており、電気生理学的手法も加えて、遺伝改変株及び野生株由来網膜移植片による機能評価が可能となり、順次すすめている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はこれまでに確立してきたプロトコルを用いて、引き続き遺伝改変株の移植後機能評価を行う。多電極アレイを用いた電気生理学的な定性定量的評価のほか、行動試験も試みる。 またより効率的なシナプス定量評価を行うため、引き続きホストのラベリングを試みると同時に、現行のシナプス検出の方法も利用して、客観的なシナプス解析プログラムを確立する。また可能であれば、電気生理学的機能評価とシナプス定量との相互比較も試みる。 シナプスの連続電顕像を得たサンプルについては、立体構築をこころみ、移植組織とホストの間でリボンシナプスが実際にどのように再構築されているか、検討を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
シナプスマーカー発現マウスの作成がうまくいかず、続きを次年度にもちこすことになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
ベクターのサイド改変を行い、再度マウス作成のためのコストに用いる。
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