研究実績の概要 |
予後良好因子候補遺伝子DHRS3, NR0B1, CYP26A1のcDNAを, DsRedpIRES2 DsRed-Express2 Vector (Clontech)にサブクローニングした(FF-NBCL).また, 遺伝子発現をノックダウンしたsiFF-NBCL clonesをpcDNA6.2-GW/EmGEP-miR systemを用いて作成し, 神経芽細胞腫細胞株(NH12, TGW, SK-N-SH)にリポフェクションにて導入し, G418, Blasticidinを処理して3週間のセレクションを行った.その後FACSCalibur(BD)にてDsRed+およびEGFP+の神経芽腫細胞を分取し, 安定発現株を樹立した これらの安定発現株中のDHRS3, NR0B1, CYP26A1は, Western Blotにて高発現していることが確認された. siFF-NBCL clonesでは予後良好因子候補タンパク質はもともと低レベルでしか発現しておらず, 導入後の発現量に優位差はなかった.これを用いColony Formation Assayを行うとFF-NBCL導入細胞ではコロニーサイズ, 形成効率は優位に低下し, 足場非依存的増殖能を失う傾向にあった. 次に, Growth Curve Assayで細胞の増殖能力を評価すると, NH12, SK-N-SHのFF-NBCLの(DHRS3, CYP26A1, NR0B1)の増殖速度の優位な抑制がみられた.これらを次世代RNA-seqによって遺伝子発現解析およびパスウェイ解析などを網羅的に行い, シグナル経路の検討を行った. パスウェイ解析の結果, DHRS3とCYP26A1はカノニカルパスウェイにおいてHepatic Fibrosis, 脂質代謝やセルサイクルなどに関連する遺伝子発現の変化がみられた. NR0B1では神経系疾患やCancerなどに関連していると示唆された. 現在は, Retro-X Tet-On Advanced Inducible Expression Systemを用いて, より高効率な形質導入を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
in vivo 神経芽腫異所性移植で造腫瘍能力・転移能を検討:SK-N-SHはSCIDマウスでの異所性移植モデルでmetastatic behaberが報告されているので、 FF-NBCL clones, siFF-NBCL clones, NBCLを移植し造腫瘍能力、転移能力について、予後良好因子がどのように影響を及ぼしているかをMRIやin vivo 蛍光イメージャーで経時的に定量、解析する。 in vivo MYCN Tgマウス神経芽腫モデル、コンディショナルノックアウトマウスモデルでの予後良好因子群の検討: MYCN Tgマウスで自然発生するマウス神経芽細胞腫にin vivoトランスフェクションで予後良好因子が作用するかを検討する。また、予後良好因子群のコンディショナルノックアウト動物を作成し、MYCN Tgマウスと交配させ悪性度の高いモデルも作成し病態を解析する。
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