研究課題
神経芽腫は、小児固形悪性腫瘍においては最も頻度の高く同一腫瘍内においても、術前治療に反応して良性方向へ分化する部分と、化学療法の効果が少なく悪性度の高い部分が混在する症例も存在する(heterogeneity)。また重要血管を巻き込み、全摘困難な症例もあり、手術合併症から、術後の化学療法が遅れ予後に影響する場合もある。今回我々は、神経芽腫における手術において、「術前MIBGシンチ画像に基づく術中ナビゲーションシステムの開発」と「術前CT・MIBGシンチ画像を用いて3Dプリンターを用いた立体モデルによる術前手術シミュレーション」を行い、神経芽腫における術中の同一腫瘍内の悪性度の可視化と、同一腫瘍内の悪性度を考慮した手術シミュレーションシステムの開発を行い、神経芽腫外科療法の成績と安全性の向上を目的とした。3Dプリンターを用いた立体作成臓器を用いた手術シミュレーションについては、3例の副腎原発神経芽腫において、術前撮影CT画像より、3Dプリンターを用いて立体臓器モデルをすでに作成した。トロッカー挿入可能な樹脂素材を用いて、体躯を作成し、実際の腹腔鏡下右副腎腫瘍摘出術と同様の視野での腫瘍位置のシミュレーションや、トロッカー位置の検討などに使用した。また、神経芽腫の肝転移症例についても、副腎と肝臓の両方の臓器モデルを作成し、実際に手術シミュレーションの検討を行った。また、神経芽腫と同様の小児悪性腫瘍である肝芽腫の5症例において、同様に術前CT画像から立体臓器モデルを作成。手術シミュレーションを行い、門脈や肝静脈の走行と腫瘍の位置関係を確認するとともに、術前に切離線をシミュレーションし、より解剖が容易に理解できることなど、有用性を認めた。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Hum Pathol.
巻: 66 ページ: 177~182
10.1016/j.humpath.2017.06.013