研究課題/領域番号 |
15K10929
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
宮原 克 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究技師 (00420844)
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研究分担者 |
山高 篤行 順天堂大学, 医学部, 教授 (40200703)
田中 奈々 順天堂大学, 医学部, 助教 (50530656)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腸管神経系 / ヒルシュスプルング病 / 神経堤細胞 / 軸索ガイダンス分子 |
研究実績の概要 |
腸管の神経系は胎生期に迷走神経堤細胞が食道から肛門まで下降性に分布して形成される。ヒルシュスプルング病(H病)は神経堤細胞が何らかの原因で途中で停止する為に、腸管が無神経細胞腸管となり、外来神経線維が増生する。我々はこの外来神経線維増生には何らかの因子が作用していると仮定し、それを見出すことは診断に用いられる新たなバイオマーカーへ結びつくと考えている。今年度においては、反発性軸索ガイダンス因子セマフォリン3A(Sema3A)に着目し以下の検討を行った。 1.腸管神経系の発生に関連する遺伝子Sox10に緑色蛍光タンパクを標識した遺伝子改変マウス(Sox10-Venus Tgマウス)と、エンドセリンレセプターB(EDNRB)の機能を失活させたマウスを交配させ、腸管神経系が直接蛍光顕微鏡下で観察できるH病モデルマウスを作製した。EDNRBはH病の原因遺伝子のひとつである。このモデルマウスの胎児消化管でのSema3Aの発現を免疫染色で観察した。遺伝子型をPCR法で確認し、正常群とH病群に分類して比較したところ、H病群の消化管の直腸側でSema3Aの強い発現が観察された。現在、リアルタイムPCR法を用いて、Sema3AのmRNAの発現を定量的に解析し、外来神経増生との関連を検討している。 2.Sox10-Venus Tgマウス胎児(胎生10日)の腸管神経系形成途中で有神経節細胞領域を外科的に取り除き、外来神経増生モデルを作製した。これは培養後2-3日後に肛門側(仙骨骨盤神経)から外来神経増生が認められる事から、遺伝子改変されていない生体での外来神経発生機序を解析モデルとして用いた。このモデルにおいてもSema3Aの発現を解析しているが、有意な結果は得られていない。手技や培養条件の影響なども考えられ、本申請の検討モデルとして有効であるか、来年度も検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデルマウスの作製・確立と、軸索ガイダンス因子セマフォリン3Aの発現がヒルシュスプルング病の腸管神経系の形成に関連があるかを免疫染色により検討し、発生時期と部位に変化があることを確認し得た。しかし今年度の当初の予定であるモデルマウスの詳細な組織における病態の発生過程の観察が不十分であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒルシュスプルング病のモデルマウスにおける組織の発生過程の解析と今年度のセマフォリン3Aの解析を同時平行して行い効率よく解析を実施する。研究協力者にも解析を依頼し研究を進め、新たな関連分子の探索も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた消耗品の使用が3月に発生しなかった為。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度4月~5月に消耗品購入の予定をしている。
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