研究課題/領域番号 |
15K10932
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田附 裕子 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10397698)
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研究分担者 |
奥山 宏臣 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (30252670)
上原 秀一郎 地方独立行政法人大阪市民病院機構大阪市立総合医療センター(臨床研究センター), 臨床研究センター, 医長 (00448060) [辞退]
上野 豪久 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (10456957)
田中 夏美 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20456958) [辞退]
山中 宏晃 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70467570)
出口 幸一 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00747082) [辞退]
松浦 玲 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00747412)
高間 勇一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50467560)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リンパ管腫 / 脈管奇形 / 治療 / リンパ管内皮 |
研究実績の概要 |
難治性疾患であるリンパ管腫の効果的な治療はない。リンパ管発生の立場から推測すると、従来の硬化療法も放射線治療も、薬物などによる内皮細胞障害で液体貯留腔が消失する効果だけでなく、局所炎症で誘導された間質内のリンパ管新生により、(本来は誘導されていなかった)リンパ管の発生因子が誘導され、結果として本来のリンパ管機能が獲得し、病変が縮小・改善している可能性もある。そこで、癌の微小循環のメカニズムで種々のリンパ管内皮の特異的マーカーや調節因子が注目されていることに注目し、従来の治療以上に効果的な新しい治療戦略提示することを目標とした。方法は、すでに保存されているリンパ管腫症例の臨床組織を倫理委員会・治験委員会の承認を得て、リンパ管腫の組織免疫染色結果を解析した。結果、リンパ管発生(成熟)にかかわる因子であるpodoplaninの発現が低いことより、リンパ管腫の内皮細胞は成熟したリンパ管の内皮細胞とは異なることが判明した。また、臨床余剰検体よりリンパ内皮を採取し、再培養する方法を確認した。一方、細胞培養にてリンパ内皮の増殖を行い、細胞ウェル内へ治療薬(OK432:0.3KE/kg、エタノール:0.2ml/kg、ブレオマイシン1 mg/kg)を投与して細胞障害性の有無を検討すると、エタノールでは優位に細胞障害性のあることが判明した。 現在、この臨床培養検体および細胞培養検体において、リンパ管発生因子(Prox1, VGEF-C, VGEF-3, podoplanin)の発現を確認している途中である。 今後、脈管奇形の立場から、リンパ管腫をリンパ管内皮の新生因子だけでなく血管内皮の分化の面からもその発現因子を確認し、リンパ管発生因子の発現から、新規治療へ役立てたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞培養の細胞株の国内での提供については、提供の同意は得たもの実際の入手は遅れたままであった。しかし、1種類入手できたので、実験を再開できた。
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今後の研究の推進方策 |
今までに得られた結果から、ヌードマウスを用いたリンパ管腫モデルの作成と保存的治療によるリンパ管新生因子の発現の有無を行う。また可能であれば、遺伝子導入による遺伝子治療の可能性を検討し、脈管奇形としてのリンパ管腫に対する、リンパ管内皮新生因子を標的とした遺伝子治療の可能性を探求したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞培養の培養株の入手に時間がかかった。また、動物実験施設への入室にあたり、ラット室とマウス室への共通の出入りが不可能となり、ノックアウトマウスの購入が延期となった。
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次年度使用額の使用計画 |
入室制限の解除がされれば、ノックアウトマウスを購入予定であり、早急に細胞株を起こして、細胞増殖後に予定されていた動物モデルを作成し、実験を推進する。
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