1)ウサギを用いた実験で、in vivo chamber内で再現性と安全性をもって血管を有する脂肪組織(adipose flap)が作製できることが示された。PRPはcollagen spongeの分解物を抑制し、再現性と安全性に寄与したと考えられた。chamber内で再生された組織は、4週で14.8%、8週で47%、12週で80%が脂肪組織で占められていた。 2)12週の再生脂肪組織(adipose flap)を下腹部に5ヶ月間移植したところ、脂肪組織は形態と大きさが維持され、長期的にも安定して維持されることが示された。 3)組織学的検討から、脂肪再生は、移植した血管茎から線維芽細胞様細胞が遊走し、その細胞が徐々に脂肪滴を蓄積して脂肪細胞に変化することが示された。 CD34+/procollagen I+ double-positive染色を行い、線維芽細胞様細胞がfibrocyteである可能性が示された。 4)ミニブタで脂肪再生実験を行ったところ、血管茎側からの脂肪再生は見られた。しかし、4ヶ月で再生組織の約30%が脂肪組織で、6ヶ月でも脂肪再生は見られるもののウサギに比べて再生組織に占める再生脂肪組織量は極めて少ない結果であった。ミニブタは鼠径部の脂肪組織が少なく、この環境が脂肪再生に関与している可能性がある。今後、周囲脂肪組織を除去したウサギモデルで再生脂肪組織量を検討する。 5)adipose tissue flapをchamber内に挿入して、脂肪組織が再生されるかを検討した。脂肪組織は再生されたが、chamber内に充満するほどではなかった。再生脂肪組織量が血管茎のポテンシャルに依存することを示唆している。
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