SD系ラット 各3匹ずつに対し、2種混合麻酔(ミダゾラム、ベトルファール)の腹腔内注入後、以下の操作を行った。右大腿部背側より、鈍坐骨神経を露出させた後、顕微鏡下に以下の4パターンの外科的処置を加えた。処置後は5-0ナイロン糸で縫合した。 ①支配神経切離(幅5mm) ②支配神経全切断・縫合 ③支配神経1/2切断 ④支配神経圧挫 術後、3日、7日、2週間、4週間、8週間目に、大腿二頭筋(坐骨神経支配)から針電極による安静時筋電図を記録した。前述の麻酔法で全身麻酔をかけた後、筋電図計(Neuropack S1)を用い、安静時の筋電図を測定した。記録時間は30秒、電位としては振幅50μV以上を有意としてカウントした。発火回数、波形(initial positive FP、initial negative FP、positive sharp wave、3相波、多相波、200μV以上を巨大FPとした)について測定、分析した。 各4グループそれぞれ1週、2週、4週、8週経過した群の大腿二頭筋を採取し、HE染色とATPase染色を-行った。ATPase染色標本では筋線維タイプ分類を行った。筋線維の断面積を測定するため50個の筋線維の短径を測定し平均値をとった。また、筋繊維の明度の最大値、最小値、平均値を測定し、各時期においての明度の差や平均値を比較した。 脱神経電位の発火頻度は3日目でピークを迎えた。その後、各群において経時的減少を認め、切断群を除いて8週目でほぼ消失した。実験群ごとに短期的な発火頻度の差が認められ、神経損傷程度の目安になることが示唆された。また、損傷からの時間経過を示す可能性が考えられた。しかし、組織学的検査では切断群では染色されにくく、明らかな筋委縮を認め、安静時電位との相関が考えられたが、それ以外の群については両者の相関は明らかではなかった。
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