研究課題/領域番号 |
15K10945
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
前川 二郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70244449)
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研究分担者 |
松原 忍 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (10404576)
三上 太郎 横浜市立大学, 医学部, 講師 (90315804)
廣冨 浩一 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (90368324)
小林 眞司 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 部長 (90464536)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / 陰圧閉鎖療法 / リンパ管新生 |
研究実績の概要 |
平成27年度で行ったミニブタを用いての急性リンパ浮腫モデル作製と持続吸引装置(NPWT)着用によるリンパ動態への影響を調べる研究では、当初想定していた蛍光リンパ管造影での輝度変化については両鼠径部で線状の蛍光が描出されなかった。これらから、陰圧以外に何らかの外的刺激が皮膚皮下組織に加わらないと新たなリンパ管新生を起こさない可能性が考えられた。従って、より効率的に持続吸引装置装着によるリンパ新生を促す実験モデル作製が必要であると考え、ミニブタ3頭を用いて、27年度と同様に鼠径リンパ節廓清を行い、急性リンパ浮腫モデルを作製し、新たな外的刺激として皮膚欠損創作製とシリコンチューブ束埋入を加えた。シリコンチューブ束は外径3mmの脳室腹腔シャント用シリコンチューブで、最近この方法による重症リンパ浮腫症例の治療の臨床研究報告がされている。3頭の急性リンパ浮腫モデルに対して、NPWT装置を装着し以下の3つのモデルを作製した。1,皮膚欠損を作製しシリコンチューブ束埋入とNPWTを装着したモデル、2,皮膚欠損がなくシリコンチューブ束を皮下に埋入しNPWTを装着したモデル、3,皮膚欠損を作製しシリコンチューブを埋入、NPWTを装着するが陰圧をかけないモデル。モデル作製一週間後にCG蛍光リンパ管造影を行い、1,2において鼠径廓清部位から腋窩部に向かう皮下にシリコンチューブに沿って蛍光を認めた。この結果から、シリコンチューブ埋入と陰圧による外的刺激により何らかのリンパ側副路が形成されたと考える。現在、組織学的検索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
28年度では効率的に持続吸引装置装着によるリンパ新生を促す実験モデル作製を行い、この結果から当初28年度の予定であった健常者5名における臨床研究の変更が必要となった。シリコンチューブ埋入を含めた次の臨床研究の可能性を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
28年度の前臨床研究から、シリコンチューブ束とNPWTを用いたリンパ新生の可能性が示唆され、ヨーロッパグループでシリコンチューブ束による臨床試験の報告がされていることから、平成29年度は平成28年度のミニブタの研究で得られた画像や検体の解析を進め、国際学会でヨーロッパグループとの意見交換をし、リンパ浮腫患者、特に陰部などの難治性リンパ浮腫症例に対してシリコンチューブ束とNPWTによる臨床研究の可能性を探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度では効率的に持続吸引装置装着によるリンパ新生を促す実験モデル作製を行い、この結果から当初28年度の予定であった健常者5名における臨床研究の変更が必要となり、個々の関わる費用がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年9月にスペインのバルセロナで行われる国際リンパ学会参加に関わる旅費、および28年度で行った効率的に持続吸引装置装着によるリンパ新生を促す実験モデル作製で得られた検体の解析費用
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