研究課題/領域番号 |
15K10951
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
山岡 尚世 帝京大学, 医学部, 講師 (10444085)
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研究分担者 |
權太 浩一 帝京大学, 医学部, 教授 (50254925)
丸山 一雄 帝京大学, 薬学部, 教授 (30130040)
平林 慎一 帝京大学, 医学部, 教授 (60173259)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 軟骨組織再生 / 足場 / 徐放 / バイオマテリアル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、軟骨組織再生において軟骨細胞の増殖および軟骨基質形成を促進するといわれているFGF2を足場から徐放させることにより局所で一定の濃度を保ち、軟骨細胞に持続的に作用するようなシステムを確立させることである。平成27年度はFGF2徐放システムを構築するにあたり、アルジネート溶液、塩化カルシウム溶液、ヒアルロン酸スポンジに含有するFGF2の各種濃度について検討しシステム作製における至適条件の設定を目指した。その結果、2%アルジネート溶液と2Mの塩化カルシウム溶液の組み合わせが最もゲルの弾性率が高値で形状保持に優れていた。また、20μgのFGF2を含有するヒアルロン酸スポンジを2%アルジネート溶液と2Mの塩化カルシウム溶液で包埋したサンプルが最も長期にわたり一定量のFGF2を放出することが確認された。 以上より、アルジネート溶液の濃度は2%、塩化カルシウムの濃度は2M、ヒアルロン酸スポンジのFGF2の含有量は20μgと設定した。 平成28年度は上記の条件で作製した足場に軟骨細胞を投与し、in vitroでの検討とヌードマウスを用いたin vivoの実験を継続中である。in vitro、in vivoいずれも培養開始、および移植より8週間経過後にサンプルを回収した。回収後は各サンプルに対し、real-time PCRを用いたII型コラーゲンの発現の確認、グリコサミノグリカンおよびII型コラーゲンのタンパク定量、弾性率の測定、組織切片の作製を行い、軟骨組織の再生を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vivoの実験において、サンプルのゲル強度が弱く、ヌードマウスの背部皮下移植後にその形状を8週間保持することが出来なかった。そのため、ゲルの外側に新たなデバイスを追加することを検討したが、適当な素材を設定することが出来なかった。しかし、検討を重ねたところ、サンプル作製後に37℃でインキュベートし、ゲルが安定する時間をとることにより、ヌードマウス背部皮下移植後8週間経過しても十分な形状保持が得られることが確認できた。以上の検討に時間を費やしたため、実験全体の進捗が遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られたサンプルに対し、real-time PCRを用いたII型コラーゲンの発現の確認、グリコサミノグリカンおよびII型コラーゲンのタンパク定量、弾性率の測定、組織切片の作製を行い、軟骨組織の再生を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度は、real-timePCR、ELISA法を用いたタンパク定量を行う予定であったが、進捗の遅れのため着手することが出来なかった。そのため、これらに用いる試薬の購入に至らず当初の計画より費用が抑えられた。この差額については29年度の実験で使用する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
in vitroおよびin vivoの検討を継続する。これらの実験から得られたサンプルを随時real-timePCR、ELISA法を用いたタンパク定量の検討、および組織切片の作製を行うことにより軟骨組織が再生されていることを確認する。研究の成果は、学会で発表予定である。
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