研究課題/領域番号 |
15K10952
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
小野 紗耶香 東京医科大学, 医学部, 講師 (40421086)
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研究分担者 |
江原 友子 東京医科大学, 医学部, 兼任助手 (40468658)
松村 一 東京医科大学, 医学部, 教授 (80256263)
今井 龍太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (80384949)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 創傷治癒学 / 感染症 / 細菌 / バイオフィルム / 浸出液 |
研究実績の概要 |
緑膿菌標準株(ATCCR 10145TM)において、培養時間とともに吸光度は増加した。培養時間とともにpH値も増加した。pHと吸光度の間には正の相関が認められた。(n=27、Pearson’s r = 0.985)pHと培養時間の間にも正の相関が認められた。(n=18、Pearson’s r = 0.901) 我々はこれまでに熱傷創の浸出液のpHを測定し、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌の局所感染時に浸出液のpHが局所感染の臨床所見の出現前に上昇することを報告した。(Increased wound pH as an indicator of local wound infection in second degree burns : Burns 2015)今回pHと吸光度、pHと培養時間に各々正の相関性があることを示した。今回の結果から、創傷のpH値が細菌の生菌数濃度(×108 CFU/ml)や細菌の増殖時間を反映している可能性が示唆された。
NPWTをおこなった慢性潰瘍8例を対象とした。NPWT交換の際に浸出液のpHを測定した。この研究は、倫理委員会の承認を得て実施した。局所感染を生じた症例は認めなかった。初診時のpHは6.5から9.5の範囲で平均8.55。pHの最大値は9.5、最小値は6.5。創部培養検査での原因菌は表皮ブドウ球菌4例、MRSA1例、ESBL1例、陰性2例であった。慢性潰瘍の収縮に伴って、pH減少の傾向を認めた。 酸性環境は創傷治癒に様々な観点から影響を与えることが報告されている。前回我々が熱傷創で得た結果よりも全体的にpHの数値は高値であり、肉芽化にむかうとpHは高くなる傾向が推察された。この原因として、慢性潰瘍そのものの影響と、持続吸引という環境の影響が考えられたが、今回原因の判別をすることはできなかった。今後、さらに検討を重ねて行きたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
浸出液の粘度を測定する実験を繰り返し行ったが、検体が測定機器を通過できずに測定結果を得ることがきなかった。
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今後の研究の推進方策 |
少量の検体で粘度を測定できる他の機器を検討したが高額機器のため、粘度測定は平成27年度で断念した。 今後は他の3菌種でも実験を行い、pH環境を明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
粘度測定を断念したため
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次年度使用額の使用計画 |
研究検体数を増やして実験を行う
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