研究課題/領域番号 |
15K10958
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
藤原 敏宏 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00423179)
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研究分担者 |
垣淵 正男 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50252664)
西本 聡 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30281124)
河合 建一郎 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80423177)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高齢 / 活性酸素 / Superoxide Dismutase / 創傷治癒 / 皮膚線維芽細胞 / 伸展刺激 |
研究実績の概要 |
平成27、28年度では若齢および高齢マウスの皮膚線維芽細胞を用いて細胞内、細胞外のSuperoxide刺激に対する応答および細胞内Superoxide Dismutase(SOD)の活性について調査した。平成29年度はこれらのマウスを用いてin vivoで創傷治癒と活性酸素の関連について調査した。また伸展刺激が活性酸素産生に関わることが報告されていることから伸展刺激と創傷治癒についても調査した。背部に作成した皮膚潰瘍モデルでは高齢マウスが若齢マウスに比べ創閉鎖に至る期間が有意に長かった。炎症期の潰瘍部における活性酸素ストレスは高齢マウスの方が有意に高く、細胞外SODの発現は低かった。肉芽形成期の潰瘍部における筋線維芽細胞のマーカーは高齢マウスの方が有意に発現が低かった。これらのことから創傷治癒過程において、高齢マウスでは活性酸素不活化酵素の発現が少なく、創傷治癒過程で発生した活性酸素が相対的に過剰となり、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化能が低下し、創傷治癒遅延につながった可能性が示唆された。次に、皮膚線維芽細胞に伸展刺激を加えるとNGFの分泌を促進することが分かり、筋線維芽細胞に分化誘導してから伸展刺激を加えると分化前と比べより多くのNGFを分泌することが分かった。伸展刺激が肥厚性瘢痕やケロイドを誘発していることは以前から報告されており、ケロイド周囲では神経線維密度が増加していることから、創部における筋線維芽細胞の伸展刺激が神経線維密度の増加の一因であることが示唆された。この伸展刺激に対する細胞の応答に活性酸素が関与していることが予想され、今後活性酸素とその不活化酵素および伸展刺激が創傷治癒に与える影響について、またケロイド発生との関わりについて分子レベルで調査する必要があると思われた。
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