研究課題/領域番号 |
15K10959
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
古賀 憲幸 久留米大学, 医学部, 講師 (30309851)
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研究分担者 |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 准教授 (00258401)
力丸 由起子 (西由起子) 久留米大学, 医学部, 助教 (90368960)
右田 尚 久留米大学, 医学部, 助教 (80412518)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肥厚性瘢痕 / ケロイド / 線維芽細胞 / マクロファージ / 集束イオンビーム観察装置付走査型電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
これまで肥厚性瘢痕とケロイドの違いについて集束イオンビーム観察装置付走査型電子顕微鏡(focused ion beam/scanning electron microscope:以下FIB/SEM)を用いて、それぞれの立体構造を解析し、細胞構築の違いを三次元的に明らかにすることで両者の鑑別を行ってきた。 現在までに、正常皮膚5例、成熟瘢痕5例、肥厚性瘢痕5例およびケロイド5例に対して解析を行ってきた。1例につきそれぞれ3カ所の部位をFIB/SEMにて観察したため、観察部位の数は1組織につき3×5=15カ所で、総計60カ所であった。そして、線維芽細胞とマクロファージとの接触の有無、接触の程度(面状か点状か)について観察し、Fisher正確検定を用いて4種類の組織間に有意差があるかないかを検討した。 正常皮膚では、15カ所全ての観察部位で線維芽細胞とマクロファージの接触がみられ、全て面状(100%)であった。成熟瘢痕では、接触有りが15カ所中13カ所(87%)で、その内面状が12カ所(80%)と点状が1カ所(7%)であり、接触無しは2カ所(13%)であった。肥厚性瘢痕では、接触有りが15カ所中12カ所(80%)で、その内面状が3カ所(20%)と点状が9カ所(60%)であり、接触無しは2カ所(20%)であった。ケロイドでは接触有りが15カ所中2カ所(15%)で、その内面状が1カ所(7.5%)と点状が1カ所(7.5%)であり、接触無しは13カ所(85%)であった。接触の有無については、正常皮膚と成熟瘢痕および肥厚性瘢痕の間に有意差は認められず、それら3つの組織とケロイドの間には有意差が認められた。接触有りと判定されたそれら3つの組織における接触の程度(面状、点状)については、正常皮膚と成熟瘢痕の間に有意差は認められず、それら2つの組織と肥厚性瘢痕の間には有意差が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析を行うそれぞれの組織の数を、より正確性を期すためにより多くの数を集めていたため、さらにそれぞれの組織間全てにおいて電子顕微鏡での観察や解析を行うには、全てPCの操作を人で行うしかなく、必要とするため考慮、人手と時間を要するため。
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今後の研究の推進方策 |
今までの研究結果から、FIB/SEM解析において、正常皮膚と成熟瘢痕と比較して、肥厚性瘢痕やケロイドでは、線維芽細胞とマクロファージの形態的相違点が存在することが明らかになった。しかし、上述の手法で取得できる画像の大きさは、直径70μmのごく狭い範囲であるため、得られた所見が組織全体でも観察できるかどうかを検討する必要がある。そこでFIB/SEM解析と並行して、線維芽細胞マーカーHSP47とマクロファージマーカーIba-1の免疫二重染色でも組織を観察し、定量解析を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度行う予定であった研究結果を治療に結びつける実験が行えていないため、その分の予算が執行できていないため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度までに得られた結果から治療に結びつく実験系を構築し行っていく、また結果もとに論文を作成および投稿することによって研究の成果を公表していく予定である。
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