これまでに私達は、脊髄損傷と末梢神経障害の治療として、人工材料を用いて神経軸索の伸長を試みてきた。この人工材料にヘパリンを共有結合させることで、ヘパリン結合性蛋白である塩基性線維芽細胞成長因子を結合させることを可能にした。これにより塩基性線維芽細胞成長因子を徐々に放出することが可能となり、塩基性繊維芽細胞増殖因子の効果を持続させることに成功した。その結果、脊髄損傷後の空洞化の周りを囲んでいるアストロサイトのプロセスを越えて神経軸索が伸長していることを観察できた。また末梢神経でも離断した坐骨神経から腓骨神経と脛骨神経で、神経が再生していることが観察できた。
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