研究課題
本研究の目的は間欠型一酸化炭素(carbon monoxide; CO)中毒発症の危険因子を明らかにすること,間欠型CO中毒の早期診断・予後予測・急性中毒後の至適フォロー方法を確立すること,酸化ストレス応答および脳内環境に着目し,間欠型CO中毒の病態を明らかにすることである.本年度の研究実施計画は東北大学病院に入院した急性CO中毒患者の関する以下の項目である.1.臨床情報,検査データ,頭部画像(CTあるいはMRI)を収集する.2.CO中毒急性期と回復期に拡散テンソル画像(DTI)およびMRスペクトロスコピー(MRS)を施行し,DTIでは白質のFA値を測定,MRSでは白質の代謝パラメーターを計測する.3.急性CO中毒後の適切なフォローアップ方法を策定する目的で,上記1,2から抽出された危険因子についてその有意水準から重みづけを行い,カットオフ値をおけるものについてはその値を設定する.これらをもとにフローチャート式のCO中毒患者フォローアップ法を策定する.4.間欠型CO中毒発症におけるNrf-HO-1系の関与を明らかにする目的で,CO中毒急性期(CO最終暴露から1週間以内)と回復期(CO最終暴露から4~5週間後)に血中・髄液中HO-1濃度を測定する.5.間欠型CO中毒病態における脳内環境破綻の評価目的に,急性期と回復期に髄液中MBP(脱髄マーカー),GFAP(アストロサイト傷害マーカー),NfH(ニューロン傷害マーカー)を測定する.本年度中に上記計画に組み入れられた新規患者は2名で,1の臨床・検査データ取得は2名全てで行われ,2については1名について経時的画像フォローが行われた.3については先行研究も含めたこれまでのデータを基に現在試案を策定中である.4,5についてはこれまでに得られた髄液検体のうち,間欠型CO中毒発症者(5名)と非発症者(5名)について測定を行った.
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry
巻: 89 ページ: 927-936
10.1136/jnnp-2018-317969