研究課題/領域番号 |
15K10968
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
森下 幸治 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (40456207)
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研究分担者 |
植野 彰規 東京電機大学, 工学部, 教授 (20318158)
小林 哲幸 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50178323)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 多臓器障害 / 出血性ショック / 腸管リンパ液 / 迷走神経刺激 |
研究実績の概要 |
頸部迷走神経電気的刺激は、そのコリン性抗炎症作用により、外傷出血性ショックモデルにおいて急性腸管障害および急性肺障害を抑制することが知られている。外傷出血性ショック後の腸間膜リンパ液には、虚血腸管で産生された炎症惹起物質を多く含むことが知られており、われわれは今までの研究で脂質メディエーターが急性肺障害や多臓器障害の発症機序に重要な役割を果たすことを証明してきた。そこでわれわれの研究目的は、頸部迷走神経の電気的刺激による腸管保護作用の解明および腸間膜リンパ液中の脂質のメディエーター機能への影響を分析することにより、コリン性抗炎症作用の新たな役割を発見することである。 具体的な今年度の成果は以下の如くである。 1.腸管保護作用の解明:雄性ラットを麻酔後、頚部の迷走神経を露出し刺激装置の電極を頸部迷走神経につけた。その後ラットの外傷出血出血性ショックモデルを作成し、ショック後に5V,5Hz,10分間の電気刺激を行い、ドップラー血流計を用い腸管血流を評価した。その結果、迷走神経電気的刺激は出血性ショック後の腸管血流の減少を抑制し腸管保護的に作用することを証明した。 2.ラット出血性ショックモデルにおける迷走神経電気的刺激による急性腸管、肺障害、腸間膜リンパ液の活性の解明:現在、ラットの出血性ショックモデルに迷走神経電気的刺激を行い、臓器障害、腸間膜リンパ液の活性、脂質メディエーターの変化を調べるためにサンプルを収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の実験計画にのっとり研究をおこなっているものの、迷走神経刺激群も含めた出血性ショックモデルに時間を要するため少し進行が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
1.頸部迷走神経電気的刺激における腸管保護作用の電気生理学評価:東京電気大とともに引き続き、刺激装置の開発、刺激の計測を行い、迷走神経の腸管への影響を電気生理学アプローチを用いて解明する。 2.頸部迷走神経電気的刺激による腸間膜リンパ液、急性腸管、肺障害への保護作用の炎症制御の評価:外傷出血性ショックモデルラットの腸間膜リンパ液を採取し、お茶の水女子大とともに脂質メディエーターへの影響の解析を行うとともに、急性肺障害への影響を評価を行う。 3.出血性ショックにおける腸間膜リンパ液中のエキソゾーム画分の採取を行い、お茶の水女子大とともに脂質メディエーターの検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進行が当初の計画に比べやや遅れたため費用の使用が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度に予定されていた実験は引き続き予定通り2017年に行う予定であり、次年度の使用額はその費用として使用する予定である。
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