研究課題/領域番号 |
15K10973
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉田 隆浩 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (40452148)
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研究分担者 |
岡田 英志 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (30402176)
竹村 元三 朝日大学, 歯学部, 教授 (40283311)
鈴木 浩大 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (80724583)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 敗血症 / 血管内皮障害 |
研究実績の概要 |
申請者らはLPS投与により作成した敗血症マウス(BL6 background、10週齢、オス)に対してヒドロコルチゾン単独療法と細胞特異的ホーミングペプチド併用療法について検討を行った。今回使用した細胞特異的ホーミングペプチドCARは敗血症による血管内皮障害部位に選択的にホーミングすることをすでに確認している。まずLPS投与後、3、12、24時間でヒドロコルチゾンを単独で10mg/kgのDoseでマウスに投与し48時間後の生存率を比較したところ未治療マウスの生存率が25.8%であったのに対し治療群で57.1%と改善を認めた。一方でヒドロコルチゾン0.2mg/kgのDoseで投与を行った群では生存率30%、CARペプチド500ug/mouse単独投与群では生存率15%と未治療群と比べ有意な改善を認めなかった。 ここで、CARペプチドはわざわざ薬物とのConjugateを作成しなくても共投与により薬物を特異的に細胞に送達することができるとの報告もあることからCARペプチド500ug/mouseとヒドロコルチゾン0.2mg/kgの共投与をおこなったところ生存率は90%と著しい改善を認めた。血管内皮障害については組織中のトロンボモジュリンの発現の確認、走査型、透過型電子顕微鏡による超微形態の確認により治療群で有意に障害が抑制されていることを証明できた。CARペプチドとヒドロコルチゾンに直接的なBindingがあったかどうかを確認するためにBIAcoreによる表面構造解析、さらに等温滴定カロリメトリーによる検証を行ったが直接的なBindingはなく、薬物を変えても共投与により薬物送達ができる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究のうちLPS誘発性の敗血症モデルマウスを作製し、CAR自体の血管内皮細胞に対する影響を確認した後、ステロイドの薬剤送達実験を行うことについては順調に進行している。血管内皮障害の評価についても検討はほぼ終了している。この点においては極めて順調に進行しているが、一方でCARペプチドのBinding Partnerタンパク質の同定についてはマウス体内でのペプチドの変性がことのほか早く、また、受容体に結合している時間も短いため現在条件の検討中である。実際、ペプチド投与後10分の時点では血中にペプチドはほぼ確認できず、代謝されて尿細管に存在するものと細胞内にInsertionしているものがほとんどでありサンプル採取時間の再検討が必要である。以上よりおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ヒドロコルチゾンが本当にCARペプチドとともに血管内皮障害部位に送達されているかどうかを確認するために蛍光色素FAMで標識したCARペプチドを用いて、ヒドロコルチゾン自体に対する抗体やステロイドの下流に当たるNFkBなどとの二重染色により治療に用いたヒドロコルチゾンの所在を明らかにする必要があると考えられる。 Binding Partnerタンパク質の同定についてはサンプル採取時間を再検討し進めていく必要があると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品を購入する予定であったが、現状では充足していたため無理に購入する必要がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験ノートなど消耗品を購入する予定
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