研究課題
血管内皮傷害部位に特異的にホーミングする環状ペプチドCARSKNKDC(CAR)を用いて傷害された血管内皮細胞に集中的にステロイド剤を送達することで、少量のステロイド使用でも敗血症による多臓器不全の治療が可能であるかどうかを検討する。対照群 (Group S) として10週齢オスのC57BL6マウス(n=18)にリポ多糖(LPS)を20mg/kg腹腔内注射し敗血症を作製。治療群は、低用量ハイドロコルチゾン (HCT) 0.2mg/kg(Group L、n=20)、高用量HCT 10mg/kg(Group H、n=28)、低用量HCT 0.2mg/kg + CAR 20mg/kg (Group L + C、n=20)の3群で、いずれもLPS投与後3、12、24時間後に腹腔内投与を行ったところ、Group L + Cでもっとも生存率が高く、Group Sと比較し有意に生存率が高かった。腎臓の有窓型毛細血管では血管内皮,基底膜,タコ足細胞がそれぞれ固く結合し三層構造を形成しているが,LPS投与により破壊され,基底膜とタコ足細胞が剥離し,内皮の小孔構造も崩壊していた。内皮グリコカリックスも剥がれ落ち,残渣が血管内に認められた。これら障害はGroup L + Cにおいて血管内皮障害が抑制されており、グリコカリックスの構造も保たれていた。グルココルチコイド受容体のリン酸化はLGroup Hでは亢進が認められてものの、Group L + C、Group LとGroup Sでは変化を認めなかった。次に微細金コロイドをCARペプチドにConjugateしたペプチドを敗血症マウスに投与したところ、血管内皮細胞にホーミングしていることが電子顕微鏡的にも確認することができた。CARペプチドの受容体の同定についてはいまだ検索中である。
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Chest
巻: - ページ: -
10.1016/j.chest.2018.03.003
Critical Care
巻: 21 ページ: -
10.1186/s13054-017-1841-8