急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は死亡率の高い難治性の病態である。近年糖尿病患者においてARDSの発症が有意に低下する「糖尿病パラドックス」と呼ばれる現象が報告されているが、原因は不明のままである。糖尿病では骨髄に異常が生じることから、マウスにて肺における骨髄由来細胞とされる2型肺胞上皮細胞を調査した。2型肺胞上皮細胞は95%が骨髄由来であり、糖尿病モデルマウスにおいて優位に減少していた。研究期間内にこの減少とARDS発症の関連は明らかとは出来なかったが、糖尿病パラドックスの原因としてこの細胞の減少が関与する可能性はあると考えている。
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