研究課題
急性腸間膜虚血(Acute mesenteric ischemia:AMI)は腸管の血流が途絶え、腸管の一部あるいは広範な部分が壊死に陥る病態で早期診断が困難な場合が多 い。診断の遅れは多臓器障害の発症、集中治療の必要性、高い死亡率につながる。特に頻度が高い高齢者は、腹膜刺激症状が弱いまま進行する場合があり、今後 の高齢化社会において血液による早期診断の確立は切望されている領域である。本年度は非虚血群のサンプル数を増加させた。サンプル採取に関しては、実験ブタに対し、麻酔導入(ケタミン皮下注射)を行い手術台の上でイソフルランによる全身麻酔(鎮痛と鎮静が同時に行 える)と筋弛緩薬(ベクロニウム)の静脈内投与を施行する。頸部に外科的処置により静脈、動脈ラインを留置し、全身麻酔下にて腸管虚血壊死モデルと虚血以外は同様の手技を行い非虚血群のグループを作成する。経時的変化を捉えながら、腸管虚血から壊死に至る安定した腸管虚血壊死モデルに対して、30分、60分、 90分、120分、180分、240分と虚血群と非虚血群のサンプルを採取する。本研究の目的である血漿を用いた、早期に虚血を捉えるための血液ガス所見、代謝物解析を行った。