研究課題/領域番号 |
15K10984
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
矢田部 智昭 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (60437720)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 栄養管理 / 集中治療医学 |
研究実績の概要 |
栄養療法は集中治療において重要な治療の1つとして認識されてきているが,エビデンスに乏しい。さらにそのエビデンスの多くは日本人と体型の異なる欧米人の研究結果であり,本邦の患者にそのままあてはめることの妥当性について,最新のガイドラインでも問題として提起されている。そこで,本研究は栄養療法,特に予後との関連が示唆されている蛋白投与量について本邦の集中治療患者の現状を明らかにするとともに,予後との関連を明らかにすることを目的とした多施設共同研究である。 本研究は日本集中治療医学会CTG委員会の認定研究として実施し,14施設から403名の患者登録を得て,目標症例数である360名を達成することができた。データの信頼性を担保するために今回,データの管理(データ登録サイトの運営,データクリーニング,クエリー対応など)は別センターに業務委託した。また,統計解析についても業務委託し,本年度は統計解析チームとデータの解析,臨床の疑問を明らかにするための統計手法の確認,その実施などを行ってきた。 本年度は主に栄養療法の実際についてを明らかにすることができた。具体的には対象患者のBody Mass Index(BMI)は22kg/m2であり,これまでの欧米人の研究データと異なり,本邦に即したデータであった。また,蛋白投与量は0.6g/kg/日程度と,欧米のガイドラインより少ない投与量であった。しかし,重症度,死亡率はこれまでの欧米のデータと差がなく,日本人を含むアジア人では蛋白投与量の設定が欧米人とは異なる可能性を示唆する重要な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
事前に計画していた目標患者数を14施設の協力により達成することができた。データクリーニング,クエリー対応も本年度で完了することができた。最終年度に統計解析と論文化を行うことで予定通り研究計画を遂行できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は統計解析チームと蛋白投与量と予後との関係を明らかにするための統計解析を行うとともに,学会発表,論文化を行い,今回の知見を広く社会に還元する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データクリーニングなどデータセットの確定に時間を要し,統計解析チームへの業務委託の開始が少し遅れたため,次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
行うべき統計解析量に差がないため,本年度に実施できなかった統計解析は次年度に繰り越しになる。そのため次年度に繰り越した額は最終年度に全て使用する。
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