研究課題/領域番号 |
15K10985
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
矢野 武志 宮崎大学, 医学部, 助教 (80521707)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 敗血症 |
研究実績の概要 |
敗血症は依然として死亡率の高い疾患であるが、診療ガイドラインの世界的な普及などにより、敗血症の短期的な予後は改善傾向にある。しかし多くの生存者でさなざまな機能障害の遷延を認め、長期的な予後を悪化させる原因となっている。これらはICU-AW (ICU-acquired weakness)あるいはPICS (Post Intensive Care Syndrome)といった概念として知られており、集中治療領域における新たな課題となっている。2017年に発行された日本版敗血症診療ガイドライン2016においても、独立した章として取り上げられ、主に予防方法について検討されている。しかし、ICU-AWあるいはPICSの発生メカニズムについては不明な点が多い。 2016年、敗血症は感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態と再定義された。従来の全身性炎症に関する評価から、臓器障害そのものの進展に着目する評価概念に変化している。敗血症では、全身性炎症に伴う過大な炎症性メディエーターに暴露された結果、各種臓器で細胞レベルでの機能障害が生じ、結果として臓器不全に至る。また、傷害を受けると同時に、細胞あるいは臓器の修復過程においてリモデリングが生じると考えられる。研究代表者は、このリモデリングが敗血症罹患後の機能障害に関係していると考えている。本研究は、血管や気管支における臓器リモデリングに着目し、リアルタイムPCR法を用いて関連遺伝子を検討することで敗血症後の長期的な病態解明に寄与し、臨床応用に繋げることを目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
安定した実験結果を得るため、培養装置や機器類の整備に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
培養細胞や実験動物を用いて、敗血症モデルを作成し、生化学的および遺伝子学的実験により、敗血症に関連した臓器リモデリングを明らかにし、予防法に関した検討を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費や消耗品等物品費の使用が予定よりも少なく、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の旅費または消耗品等物品費として使用予定である。
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