敗血症とは、感染に対して宿主生体反応の統御不全により臓器機能不全を呈している状態である。近年、効果的なガイドラインに基づく集学的治療が施されるようになって、短期的な治療成績は改善傾向にあるが、長期的な予後は悪いままである。本実験では、強力な抗炎症作用を有する遺伝子組み換え型トロンボモデュリン(rTM)を用いて、敗血症における血管機能障害の遷延抑制、血管内皮障害の抑制および回復期への影響を検証した。rTMには、リポポリサッカライド(LPS)によって生じる血管収縮機能低下の遷延を抑制する傾向が認められた。またLPSは血管内皮細胞を強く傷害するが、rTMによって組織構造が保たれる傾向を認めた。
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