研究課題/領域番号 |
15K10986
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
巽 博臣 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70404613)
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研究分担者 |
升田 好樹 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10244328)
高橋 科那子 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60772316)
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研究期間 (年度) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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キーワード | 六君子湯 / グレリン / 重症患者 / 消化管蠕動 |
研究実績の概要 |
重症患者では高度侵襲に伴う臓器障害の一分症として消化管蠕動が低下する。特に、胃蠕動の低下は生じやすく、胃内容停滞によって、胃食道逆流による誤嚥や呼吸器関連肺炎(VAP)を誘発するほか、経鼻胃管排液量増加による電解質の喪失など代謝性障害をきたす可能性もある。このため、胃管からの経腸栄養の開始遅延や経腸栄養そのものの中止を余儀なくされることも多い。このような病態に対しては、種々の消化管運動賦活薬が用いられるが、十分な有効性を得られない症例もあるため、その際は栄養剤の経空腸投与を行う必要がある。経空腸投与による消化器合併症の軽減が報告されているが、経胃投与がより生理的である。しかし、投与経路による消化管蠕動や消化管ホルモン分泌の差異については十分に議論されていない。 高度侵襲後消化管蠕動の低下に関して動物モデルを作成し、胃蠕動に関与する血漿グレリン濃度を測定し侵襲に伴う濃度変化を把握する。また、侵襲後の胃蠕動低下に対する六君子湯の有効性を検討する。さらに、臨床検体を用いて集中治療領域の重症患者における胃蠕動低下に対する六君子湯の有効性の機序を、グレリンの濃度変化の側面から解明する。これまで明らかにされていない重症患者における胃蠕動低下とグレリン濃度変化の低下を探求するものであり、六君子湯の有効性の機序の解明、さらには活性型グレリン製剤の開発にも貢献できると考えられる。 平成28年度は動物実験計画の承認およびIRB審査が終了し、臨床検体の採取を続けている。平成29年度は臨床検体の採取を継続し、一定数ごとに活性型および不活性型グレリンの測定を行い、臨床データと併せてデータ解析を行う。また、平行して動物実験を行い、同様にグレリン測定を行い、六君子湯投与の有効性などについて検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スタッフの人員減により、動物実験を行う時間がとれなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は人員および実験を施行する時間が確保できる見込みのため、遅れを取り戻すべく検体の測定および動物実験を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
人員減による動物実験および検体濃度測定が遅れているため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は人員および研究施行時間が確保できるため、早急に動物実験と検体濃度測定を行う。
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