研究課題/領域番号 |
15K10988
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
六車 崇 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (50330569)
|
研究分担者 |
森村 尚登 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20239685)
問田 千晶 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (30632632)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 小児救命救急 / 小児集中治療 / 予後予測 / 重症度スコアリング |
研究実績の概要 |
平成27年度は、[1]データ収集に値するスコアリングの選別と収集パラメータの整理 [2]前記[1]で選別された項目をJaRPACレジストリの収集項目へ収載 [3]先行的な試算としての予測式の試験的作成 を行った。 [1] 諸外国で開発されたスコアリングシステムを参考に、重篤小児症例の重症度と関連することが想定されるパラメータにつき検討した。PRISM-IIIおよびIVは、収集する項目数が多い一方で 算出の過程で点数化される際に 過剰な単純化が行われており、スコアリングとのしての精度の点で優位性に欠けるものと判断し、小児重症症例のスコアリングシステムである PIM(Pediatric index of Mortality)2 および PIM3、成人例を主眼 とした重症度スコアリングである APACHE(acute physiology and chronic health evaluation)II および APACHE IV、外傷例の重症度スコアリングである TRISS(Trauma and injury severity score)を用いることとした。 [2] 上記[1]に基づき、本邦初の重篤小児診療レジストリである 日本重篤小児診療レジストリ:Japanese Registry of Pediatric Acute Care (JaRPAC)に収集項目に 上記スコアリングの算出に用いるパラメータを追加し、データ収集の準備状況を整備した。 [3] また、まずは先行的な試算として、3施設のデータ (testing sample n=2464, validation sample n=2190) をもって予測式の試験的作成を行い、識別能と適合度は PIM2 と同様ながら 標準化死亡比に改善を認める 試験的予測式: PIM-j.β を作成した。 なお、上記[1][3]に関しては詳細をまとめたうえで 第43回日本集中治療医学会学術集会にて発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来であれば平成27年度の間に収載項目を更新したJaRPACレジストリで 各施設からのデータ収集を開始する予定であったが、レジストリ開発における技術的な問題から遅延が発生し、28年度に持ち越しになっている。 その代替として試験的な予測式作成を先行させており、研究全体に影響するような遅れにはなっていない。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度以降の計画は以下のとおりである。28年度中には 下記 a,b までを行う。 [a.データ収集と収集項目の修正] 収載項目を更新したJaRPACレジストリで各施設からデータ収集。収集データを解析し、全体傾向から収集項目の変更や追加を施行。 [b.予測致死率の算出式の決定] 2 年間で収集したデータから死亡に関連する と推測される危険因子を単変量解析から抽出する。抽出した因子のデータにつき 多変量解析を行って危険因子を確定し、各因子の相関係数を決定、研究代表者・ 研究分担者・連携研究者間の合議を通して予測致死率の算出式を作成する。 [c. スコアリングの妥当性の検証] 作成した予測致死率の算出式を平成 29 年度の 症例データに当てはめて予測致死率を算出することで、スコアリングの妥当性を前方視的に検証する。検証結果に基づいて、必要に応じて予測致死率の算出式を修正し、最終版を確定する。 [d. 算出法の頒布] 確定した最終版の算出式につき、入力すれば誰でも予測致死率の算出が可能なウ ェブページまたはソフトウェアを開発する。ウェブページは一般公開し、ソフトウェアであれば無償で頒布する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
レジストリのシステム改修において技術的な問題による遅延があり、結果的に工程の一部が次年度に持ち越しになったもの。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成28年度にレジストリのシステム改修に使用する。
|