研究課題
①肝臓虚血再灌流実験 肝門部の血管束を90分閉塞後解除することにより、肝臓における虚血再灌流傷害モデルを作成し、傷害の程度をワイルドタイプマウス(WT)、VWFノックアウトマウス(VWF-KO)、ワイルドタイプにrADAMTS13を注入したもの(WT+rADAMTS13)の3群に分け比較検討した。WT群ではVWF-KO群よりも血液中のALTは上昇しており、同時に組織学的にも肝細胞の壊死および空胞化が強かった。すなわち、肝臓の虚血再灌流傷害にはVWFが関わっていることが推察された。このWT群における肝傷害の強さはrADAMTS13の注入により相殺され、VWF-KO群とWT+rADAMTS13群では同程度の肝傷害となり、肝臓の虚血再灌流傷害を抑制するにはrADAMTS13が薬剤として使用できる可能性が示唆された。続いて、肝臓の再灌流傷害がVWF依存性に惹起される原因について検討した。WT群ではWBCのプラッギングが多く認められ、冠虚血再灌流傷害においてはVWF依存性に白血球の集簇が起こることが傷害を惹起する原因であり、その程度を規定していると考えられた。intravitalの実験においても、VWF群では白血球の血管壁への集簇や血小板との結合が増加しており、肝の虚血再灌流傷害では、VWF依存性に白血球を介した炎症が惹起されることが、重要な病態生理を担うものと推察された。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Thromb Haemost.
巻: 118(4) ページ: 700-708
10.1055/s-0038-1636529