研究課題/領域番号 |
15K10993
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
宮本 和幸 昭和大学, 医学部, 講師 (80555087)
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研究分担者 |
大滝 博和 昭和大学, 医学部, 准教授 (20349062)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 熱中症 / 炎症性サイトカイン / 中枢神経傷害 / 遺伝子組み換えトロンボモジュリン / Elisa / Real time PCR |
研究実績の概要 |
これまでの実験で、マウス熱中症モデルでは、熱中症直後から1~3週間後にかけて脳内における炎症性サイトカイン(IL-6, TNF-α)が増加し、一方抗炎症性サイトカインである(IL-10)はあまり大きくは変化しないことがわかってきた。また、初年度におこなった協調運動を評価する行動実験では、熱中症直後よりも、熱中症から1週間から徐々に協調運動障害が出現し、3週間後にピークを迎え、その後徐々に改善を認めた。 上記から熱中症の神経傷害は脳梗塞のような恒久的な神経細胞死ではなく、熱中症後に中枢神経で炎症が惹起され、一時的な神経細胞および軸索の機能傷害による機序の可能性が高いいことが考えられた。炎症性サイトカインによる一時的な神経細胞・軸索傷害の機序を解明するために、熱中症直後・1週間・3週間後に神経細胞をみるHE染色・TB染色、軸索を染色するKB染色をおこなった。結果、あきらかな神経細胞死はなく、神経細胞傷害を考える核の変形のみであった。また、あきらかな脱髄所見はなかった。このため、現在、改めてモデルを作成し、コントロール群、熱中症直後・1週間・3週間で免疫染色(NeuN, GFAP, IBa-1)をおこない、熱中症後の神経細胞傷害の機序を解明中である。これらにより、熱中症後にグリオーシスがおこっているのか、またIba-1を発現するマイクログリアがどのような変化をしているのかが明らかななる。さらに、Elisaでは検出できない量の炎症性サイトカインをとらえるために、大脳皮質・小脳・脳幹にわけてReal time PCRをおこない、熱中症による変化とrTMの及ぼす影響について検討をおこなったいる。さらに、今年度は遅れていた、TNF-αKOマウスを用いて、中枢神経傷害における炎症性サイトカインの役割について解明をおこなう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までの経過で、熱中症の中枢神経傷害にはTNF-αが関与している可能性が考えられた。このため、TNF-αKOマウスの熱中症モデルを作成する計画を立てていた。TNF-αの繁殖過程で、動物舎でセンダイウイルス感染が蔓延し、一旦、動物を処分せざるおえない状態となった。このため、感染がおさまるまで一旦動物を増やすことができず、実験がやや遅れ気味である。現在、感染は落ち着き、マウスを繁殖させ実験をおこなう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、熱中症後に惹起される神経炎症が熱中症後の神経傷害にかかわっていることがわかってきた。このため、神経炎症が中枢神経のどこでおこっているのか?つまり、神経細胞なのか、グリア細胞なのか、マイクログリアなのか、もしくは軸索なのかを免疫染色をおこなうことによりあきらかなする。 また、炎症性サイトカインの中でももっとも変化が大きく、神経傷害のおきる時期にダイナミックに変動するTNF-αが神経炎症におよぼす役割をあきらかにするためにTNF-αKOマウスを用いて機序を解明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までの経過で、熱中症の中枢神経傷害にはTNF-αが関与している可能性が考えられた。このため、TNF-αKOマウスの熱中症モデルを作成する計画を立てていた。TNF-αの繁殖過程で、動物舎でセンダイウイルス感染が蔓延し、一旦、動物を処分せざるおえない状態となった。このため、感染がおさまるまで一旦動物を増やすことができず、実験がやや遅れ気味である。現在、感染は落ち着き、マウスを繁殖させ実験をおこなう予定である。
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