研究実績の概要 |
研究1 IL-15受容体に結合する低分子化合物のin silico探索と結合能の評価 IL-15受容体はα、β及びγサブユニットから構成され、IL-15はαサブユニットに直接結合することでその作用を発現する。IL-15とαサブユニットの複合体のX線解析は既に報告されている(PDB ID:2PSM、2Z3Qなど)。本研究では、主にこれらの複合体立体構造に基づき、IL-15受容体のアゴニストになり得る低分子化合物をin silico探索した。 全ての計算は統合計算化学システムMOEを用いて行った。化合物探索に用いた化合物データベースは、Sigmaの化合物カタログに掲載されている化合物群(195,048)とCCG(Chemical Computing Group, Montreal, Canada)から供給されている医薬分子に適する化学構造を持った化合物群(458,166)である。合計653,214化合物を第一段階の探索化合物空間とした。これらの化合物の中から、医薬分子になり得る性質を持った化合物を選択するために、現在国内で使用されている医薬分子と活性代謝物合計1,487化合物の80%以上に共通に見られる「医薬分子らしさ」指数を2次元構造記述子により表現し、このフィルターを98%以上満足する合計27,959化合物を抽出した。その内、結合部位の性質を充分に表現する(75%以上)化合物6,668種を抽出した。 この6,668化合物をIn silicoにてIL-15受容体部位にドッキングさせ、その親和性の強さを求めた。その結果、親和性の強い上位50化合物をリストアップし、ヒット化合物とした。
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