研究課題/領域番号 |
15K11003
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
笹野 泰之 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30196191)
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研究分担者 |
中村 恵 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20431512)
逸見 晶子 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40613055)
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60374948)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 石灰化 / 歯 / 骨 / 軟骨 / 基質 / 有機質 / 質量顕微鏡 |
研究実績の概要 |
本研究は、石灰化前と石灰化後の骨と象牙質等の硬組織を研究対象とし、質量顕微鏡法を用いて有機質基質を解析するとともに、エネルギー分散型X線分析(SEM-EDX)を用いて基質のリン酸カルシウムの動態を調べ、石灰化を制御する基質有機質を検討することを目的とする。さらに、石灰化前と石灰化後の軟骨についても、ミネラルと関連する有機質の動態を同様に検討することを目的とした。 平成28年度では、生後3日齢Wistarラットの下顎骨を以下の方法で凍結包埋試料とし、質量顕微鏡で検討した。①未固定・非脱灰 ②4%パラホルムアルデヒド固定・非脱灰 ③4%パラホルムアルデヒド固定・10%EDTA脱灰 ④Methanol-Chloroform化学固定・非脱灰 ⑤Methanol-Chloroform化学固定・10%EDTA脱灰。予備実験で②及び③が質量顕微鏡用に相応しい試料作製方法と判断されたため、以降は②及び③で作製された試料を検討対象とした。歯を対象として、ピークを示す分子が認められた。並行して、生後2週齢ラットの切歯を用い石灰化過程の象牙質とエナメル質を対象に、ミネラルの構成元素であるカルシウムとリンおよび有機質の構成元素である炭素の基質における濃度についてSEM-EDXを利用して解析し、象牙質とエナメル質の形成に伴いミネラル結晶が成長する一方で有機質が減少することが示された。一方、石灰化軟骨に関する研究では、2週齢ラットを上記②の方法で固定して下肢をパラフィン包埋試料として利用した。SEM-EDXと蛍光顕微鏡を併用して、ミネラルが集積する領域とII型コラーゲンとX型コラーゲンの存在領域を総合的に検討することを目的として、ミネラルとコラーゲン分子を同時に可視化するイメージング技術を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質量顕微鏡の検討結果の解析に予想以上の時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度では、有機質基質の解析については、質量顕微鏡で歯を中心に認められたピークを示す分子について検討を進める予定である。また、ミネラルの解析については、対応する部位をエネルギー分散型X線分析、X線回折、赤外分光法等を用いて検討を進めたい。さらに石灰化軟骨に関する研究では、エネルギー分散型X線分析と蛍光顕微鏡を併用して、ミネラルが集積する領域とII型およびX型コラーゲンタンパクの存在領域を同時に可視化し、石灰化におけるII型およびX型コラーゲンの役割を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
質量顕微鏡の検討結果の解析に予想以上の時間を要し、予定していた有機質解析の研究に遅れが生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の研究費の主な使用計画を以下に記載する。なお、平成28年度の未使用額と平成29年度請求額を合わせ、平成29年度の研究遂行に使用する。 (実験用動物・ラット)平成29年度では、最少でも、生後2週齢30匹(60千円)と生後3日齢30腹(60千円)が必要である。(プラスチック・ガラス器具)質量顕微鏡用、ミネラル解析用、免疫電子顕微鏡用の試料作製で必要である。(固定剤、試料包埋剤等)化学固定剤、試料凍結用の包埋剤、電子顕微鏡用の包埋用樹脂等が必要となる(質量顕微鏡用スライドガラス)専用のスライドガラス(50千円/25枚)が最少で200枚(400千円)必要である。(質量顕微鏡利用料金)40千円/日として年間15日間の利用を見込む。(人件費・謝金)資料整理のための人件費を10千円見込む。(国内旅費・外国旅費)研究打ち合わせ及び成果発表のための旅費として、300千円を見込む。
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