研究課題/領域番号 |
15K11014
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
上原 範久 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30368211)
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研究分担者 |
久本 由香里 九州大学, 歯学研究院, 助教 (40729026)
久木田 明子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (30153266)
久木田 敏夫 九州大学, 歯学研究院, 教授 (70150464)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 細胞外小胞 / 骨転移 / 破骨細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、骨転移性のマウス乳癌細胞(4T1)と、4T1細胞と同一の遺伝的バックグラウンドを有する低転移性(4T07)あるいは非転移性の乳癌細胞(67NR)より分泌された細胞外小胞(EVs)の破骨細胞分化に及ぼす影響を検討し、さらにそれらEVsに内包される特異的miRNAを同定することを目的とした。マウス骨髄細胞を用いたRANKL刺激in vitro破骨細胞分化誘導実験の結果、非転移性乳癌細胞(67NR)由来EVs (67NR-EVs)処理によるTRAP陽性破骨細胞形成は、EVs未処理と同等であったが、4T1-EVs処理によりTRAP陽性破骨細胞数の顕著な増加が観察され、破骨細胞分化関連遺伝子の発現上昇が認められた。EVsの骨吸収能に対する影響は、象牙切片上にて破骨細胞の培養を行い、吸収面積の計測により検討した。その結果、67NR-EVsと比較して4T1-EVs添加により象牙切片上の吸収面積の顕著な増大が確認された。さらに、EVsの破骨細胞生存シグナルへの影響を検討した結果、67NR-EVsと比較して4T1-EVs処理では破骨細胞のアポトーシス数の顕著な抑制が観察され、アポトーシス促進タンパクであるBimおよび活性型Caspase-3の顕著な発現低下が確認された。さらに、4T1-EVsに内包されるmiRNA網羅的解析の結果、骨転移性乳癌細胞由来EVs中において、特異的発現上昇miRNAが33種、発現低下miRNAが56種の同定に成功した。4T1-EVsに特異的なmiRNAをマウス骨髄細胞へ導入し、RANKL刺激を行った結果、コントロールと比較して顕著な破骨細胞形成の促進がみられた。以上の結果より、骨転移性乳癌細胞由来EVsは破骨細胞の分化・骨吸収能および生存促進効果を有する新規細胞間コミュニケーションツールとして機能することが示唆され、内包されるmiRNAの重要性が明らかとなった。
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